米国株が強い動きを続けている

 東京市場を取り巻く環境に大きな変化はありません。

  • 米中貿易摩擦
  • 新興国(通貨)不安

 引き続きこれが2大不安要因です。その根源をさらにたどっていくと、

  • 米トランプ政権の保護貿易政策(各国との貿易問題に発展)
  • 米金利上昇局面入り(新興国からの資金流出につながる)

 いずれも、米国発のものだということがよくわかります。この状況下で注目すべきことは、この中において米国株が強い動きを続けていることです。主要株価指数のS&P500種指数、NASDAQ総合指数は史上最高値圏にあり、ダウ工業株30種平均もそれに続くのではという動きです。

 このことはまさに世界中の投資家が「米国に有利な状況だ」と考えているに他なりません。もしかすると、すでに世界が「米国一強時代」に入っているのではないかと思わせるほどにその動きは鮮明になっています。

 そうであるならば、すぐに「北米売上高比率が高い企業」への興味が湧いてきます。現実的に10万円で投資できる銘柄が多いわけではありませんが、まず2銘柄取り上げます。

「米国一強時代」に追い風受ける10万円株

 株価データは2018年9月3日終値ベース。

 

丸紅(8002・東証1部)

 総合商社大手の一角、北米売上高比率約17%。食品分野に強みを持ち、穀物取扱高は日本企業首位。川下分野ではマルエツ、東武ストアを系列化し事業展開しています。

・丸紅の日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

ワコム(6727・東証1部)

 ペン入力のタブレットで世界首位、北米売上比率約15%。教育用、電子カルテなど病院向け、自動車デザイナーなどプロ向けグラフィックス用主力。ペン&タッチ関連製品も開発し、市場開拓を進めています。

・ワコムの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

 

 もうひとつ、この米国一強時代が鮮明になってきた中で、株価の動きが強さを見せている銘柄にも注目すべきでしょう。目立った上昇を見せている銘柄はもちろんですが、とくに小型株では、安値圏にあったとしても底堅い動きをしている銘柄は足元の市場環境がそれなりにフォローになっているものと判断できます(大型株よりも小型株の下落が目立つ局面が続いたからです)。株価は常に先を映していくものですので、その値動きを注目しておきたい銘柄といえます。

 

日本冶金工業(5480・東証1部) 

 NASブランドで知られるステンレスのトップメーカー、ニッケル精錬から圧延まで一貫生産。ステンレス一般材は自動車、建築、半導体などに、高機能材はエネルギー産業向けに堅調です。

・日本冶金工業の日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

宇徳(9358・東証1部)

 港湾運輸大手、重量物の輸送に強みを持ちます。プラントは石油化学関連に強く、シンガポールなど東南アジアで実績があります。労務費や外注費などコスト増が当面の課題とされています。

・宇徳の日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

明和産業(8103・東証1部) 

 化学品、樹脂主体の中堅商社。自動車・家電用樹脂、発電機器輸出のほか、リチウムイオン電池用黒鉛電極輸入も行っています。中国では、建設機械向け潤滑油やエアコン冷凍機油が好調です。

・明和産業の日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)