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『PMI』とは、購買担当者景気指数(Purchasing Managers’ Index)の略で、企業の景況感を示す経済指標です。景気判断の節目である50を上回れば景気拡大、下回れば縮小を表します。中国国家統計局が発表した8月の製造業『PMI』は小幅ながら上昇し、節目の50を25カ月連続で上回りました。米国との貿易摩擦の影響が懸念されるなか、中国政府の景気配慮型の政策対応への期待で改善したとみられます。

【ポイント1】製造業『PMI』は小幅ながら改善

非製造業『PMI』も改善

 中国国家統計局が発表した8月の製造業『PMI』は前月比+0.1ポイントの51.3と、悪化するとみていた市場予想(ブルームバーグ集計、51.0)に反して上昇しました。製造業『PMI』は、米国との貿易摩擦拡大や、インフラ投資の抑制などの影響から悪化していましたが、3カ月ぶりに小幅ながら改善しました。
8月の非製造業『PMI』も同様に、前月比+0.2ポイントの54.2と、市場予想(同53.7)に反して小幅ながら改善しました。

 

【ポイント2】新規受注は低下

生産が上昇し、全体では改善

 製造業『PMI』の内訳をみると、需要を反映する新規受注が前月比▲0.1ポイントの52.2と低下しましたが、供給を反映する生産は同+0.3ポイントの53.3と上昇し、全体では小幅な改善につながりました。

 ただし、輸出に限った新規受注は同▲0.4ポイントの49.4と、3カ月連続で50を下回りました。米国が知的財産権侵害への制裁として500億ドル相当の中国製品に25%の追加関税措置に踏み切った影響が反映されているとみられます。今後の貿易摩擦拡大の動きで更に悪化する可能性があります。

 

【今後の展開】政策対応により景気が下振れるリスクは小さい

 足元の景気が減速傾向にあり、米中貿易摩擦が激しさを増すなかで、『PMI』が小幅ながら改善した背景には、中国共産党が7月31日の中央政治局会議で、「積極的な財政政策」と「穏健な金融政策」により、景気を下支えする方針を決定したことがあると考えられます。米国との貿易摩擦の拡大に備え、景気配慮型の政策運営を行うことで、今後インフラ投資は下げ止まり、事実上の金融緩和により不動産投資は堅調さを維持する可能性が高いと思われます。米中貿易摩擦拡大で輸出環境の悪化が見込まれるものの、中国政府の景気配慮型の政策対応により、景気が下振れるリスクは小さいとみられます。