前々回「取引時間」を、前回「指値注文の有効期限」を取り上げました。ともに商品先物取引において重要な時間に関わる事柄でありますが、今回は同じ時間に関わるもので、前々回の「取引時間」のより詳細な内容を取り上げたいと思います。

2016年9月より東京商品取引所の取引ルールが変更になった際、取り入れられた「ノンキャンセルピリオド」と「板合わせ」についてです。これらは1日の中で決まった時間帯、あるいは定時点で行われるもので、ともに取引時間に関わる重要な事柄です。※本文中の時刻の表記はすべて日本時間、24時間表記です。

●「ノンキャンセルピリオド」

これは「ノン」+「キャンセル」+「ピリオド」という3つの語が組み合わされた単語です。「ノン→(否定の意味)」+「キャンセル→取消」+「ピリオド→時間帯」ということで「取消ができない時間帯」、対象となるのは“注文”ですので、「注文の取消(および変更)ができない時間帯」という意味になります。

立会い開始(終了)の直前、高頻度での注文の取消や変更が行われて、大きな価格変動を伴って取引が始まる(終了する)ことを防ぐため、注文の取消や変更が原則的にできない時間帯(ノンキャンセルピリオド)が設けられています。発注することは可能です。

ノンキャンセルピリオドは取引所が注文を受け付けている時間帯の中で、それぞれ1分間、3ヵ所(夜間セッション開始直前の16時29分から1分間、同セッション終了直前の5時29分から1分間、日中セッション開始直前の8時44分から1分間)、設けられています。


●「板合わせ」

「板合わせ」とは、取引所で受け付けられた注文において、最も多くの注文が見合う(注文の条件を満たす)一つの値段で約定させる売買成立方法の一つのことで、「日中セッション」と「夜間セッション」(※)の取引開始前と後、1日合計4回行われています。
「第11回 注文の有効期限」を参照ください。

各セッションの開始前に行われる板合わせを「寄り板合わせ」、同終了時に行われる板合わせを「引け板合わせ」といいます。※板合わせは、売り買いの枚数が完全に一致することは条件に入っていないため、売り買いどちらか一方に注文枚数が片寄ると、成行注文であっても必ずしも約定するとは限りません。

また、各セッションが始まった後は「ザラバ」とよばれる売買成立方法によって、取引時間内であれば注文の条件が合えば次々と取引が成立するしくみで取引が行われます。

 

出所:東京商品取引所の資料を基に筆者作成


 
また、2016年9月に行われた取引ルールの変更にともない、注文の執行条件に「引指(ひけさし)」「引成(ひけなり)」が加わっています。これにより、発注時の当該セッションの「引け板合わせ」で執行される注文を発注することができるようになっています(引け板合わせが行われるまでの当該セッション中のザラバには執行されません)。

遣い方としては、たとえば当該セッション中に建玉を決済しておくためになどで用いることが想定されます。

「ノンキャンセルピリオド」と「板合わせ」についても、商品先物取引における取引時間に関わる要素として留意する必要があります。