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『IR』とは、英語のIntegrated Resortの頭文字を取ったもので、日本語では 「統合型リゾート」と言われます。カジノや国際会議場・展示施設、ホテル、娯楽施設、ショッピングモールなどが一体となった複合型観光・商業施設のことです。日本では、先月『IR』実施法が成立し、2020年代前半の開業が見込まれています。どこが候補地となり、どの程度の経済効果が見込まれているのでしょうか?

 

【ポイント1】日本の『IR』は日本らしさを重視

日本の伝統や文化、芸術などを生かした公演などで観光の魅力を増進

『IR』実施法の成立の際、日本では刑法でカジノ行為が禁じられていることから、カジノ事業についてどのように管理するのか、またギャンブル依存症への対策はどうするのかなどが注目されました。しかし、『IR』はカジノだけではない、複合型の観光・商業施設のことで、日本では、日本の伝統や文化、芸術などを活かした公演などによる観光の魅力を増進する施設や、観光客の来訪・滞在の促進となる施設が含まれる予定です。

 

【ポイント2】大阪の試算による経済効果は?

開業後、毎年7,000億円超の経済効果が見込まれる

 日本の『IR』は当初3カ所が開業の上限とされる中、北海道や大阪、和歌山、長崎などが誘致を推進しています。

 このうち大阪では、2016年に関西経済同友会が、大阪・夢洲に『IR』を設置した場合の事業規模と経済効果を試算しています。

 この試算では、関西へ国内観光客数が2013年対比+20%の約3,400万人、関西への外国人観光客数が約1,200万人となることを前提としています。これによると、『IR』事業者の年間収入は5,545億円、鉄道敷設等のインフラ整備を含む投資額は7,759億円にのぼると試算されています。

 また、関西への経済効果は、開業までに累積1兆4,711億円、開業後には毎年7,000億円超が見込まれているほか、開業前後でそれぞれ9万人超の雇用創出効果があると試算されています。

 

【今後の展開】『IR』はさらなる外国人旅行客の誘致に向けた新たな観光資源に

 政府は訪日外国人旅行客数を、2030年に2017年の倍以上となる年間6,000万人にすることを目指しています。こうした中、日本の『IR』は、日本らしい魅力を盛り込むことで外国人観光客のリピーターなどを惹きつける新たな観光資源になるとともに、雇用創出など日本経済を活性化する一要素になるとして期待がかかります。