18年4~6月期にモバイルゲーム収入の落ち込みが鮮明、当局認可に不透明感も

現地コード 銘柄名
00700

 騰訊控股

(テンセント・ホールディングス)

株価 情報種類
 336.00HKD
(8/16現在)
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 テンセントの18年4~6月期決算では、売上高が市場コンセンサス予想、BOCIの予想からそれぞれ5%、7%下振れする反面、純利益(非GAAP)は3%、2%の幅で予想を上回った。売上高の予想下振れは、主力のオンラインゲームを筆頭とする各部門の収入が予想に届かなかったため。一方、系列会社・合弁会社損益の黒字化や実効税率の低下が、純利益の上振れ要因となった。BOCIは主にゲーム部門の減速見通しを理由に、18~20年の予想売上高を8~13%、予想EPSを3~11%減額修正。これに伴い、目標株価を大きく引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 オンラインゲーム収入は4~6月に前期比12%減。モバイルゲーム収入、PCゲーム収入がそれぞれ19%、9%落ち込んだ。BOCIはモバイルゲームの大幅減収の原因として◇マネタイズ(収益事業化)以前の段階にあるサンドボックスFPSゲーム(舞台となる世界を自由に動き回るタイプの一人称シューティングゲーム)人気の高まりで、従来型ゲームにしわ寄せが及んだ、◇新規7タイトルのうち5つの配信開始時期が4-6月の後半に集中した、◇モバイルゲーム市場全体がスローダウンしたことを指摘している。

 ゲーム以外のその他売上高は4~6月期に前期比10%、前年同期比81%増加したものの、BOCIの予想を7%下回った。その他売上高の10%強を占めたのは、第三者決済業務に絡み商業銀行に預け入れた制限付き保管預金(restricted custodian deposits)の利息収入。この分の4~6月の利益は推定20億元に上ったが、中国人民銀行による制度変更を受け、下期に減少する見込み。19年以降はゼロになるという。

 4~6月期に見られたプラス材料は、◇動画サービス加入者数が前年同期比121%増の7,400万人に達した、◇ミニゲーム広告収入が前期比で5倍を記録した、◇モバイル決済のMAU(月間アクティブユーザー数)が8億人に達し、オフラインの商業決済額が前年同期比280%急増したなど。また、系列・合弁会社による貢献や税率低下を受け、純利益率は前期の24.9%から26.8%に上向き、BOCIの予想を上回った。

 一方、中国ではオンラインゲームの配信や収益化に際し、国家新聞出版広電総局(SARFT)と文化部の認可が必要となるが、この2省庁の再編が認可に悪影響を及ぼしている。BOCIによれば、文化部による認可作業はすでに正常化したが、SARFTは3月28日以降、停止状態。17年に1万1,000件を数えた認可件数が、18年には2,200件まで落ち込んだという。テンセント経営陣によれば、SARFTは一部ゲームの認可に向けて特例措置を用意しているもよう。ただ、認可に関する不確実性が長引くようであれば、同社にとって痛手となる。中国のオンラインゲーム市場は18年に入り、牽引役のモバイルゲームを中心に減速しており、中国音数協遊戯工委(GPC)などの調べによれば、上期の市場規模は前年同期比わずか5.2%増だった(前年同期は同26.7%増)。