先週は、トルコリラ急落をきっかけに2万2,000円を切るが終値では2万2,200円台へ

先週の結果

 トルコリラの急落に端を発し、金融市場がリスク回避へと大きく動いたことで円も買われ、日経平均株価は先物主導で大きな上下動となりました。下値はザラ場では13日(月)の2万1,851円、16日(木)の2万1,871円と二点底をつけた形となって、週末の17日(金)は2万2,270円で引けました。終わってみると前週末の10日(金)の終値2万2,298円から比較するとわずか▲0.1%の下げでした。

 しかしTOPIXは、17日(金)の終値1,697Pで、前週末の10日(金)の終値1,720Pより▲1.3%下回って引けています。つまり、日経平均に連動する値ガサ株中心に買われたアンバランスな相場になっているということです。日経平均の動きに比べて中小型株中心の個人投資家は大きなマイナスになっている方が多いと思われます。

 13日(月)は、前週末にトランプ大統領が米牧師の拘束に対する制裁として、トルコからの鉄鋼、アルミニウムにかける関税を2倍に引き上げるとし、トルコリラが急落。トルコに債権の多い一部のヨーロッパの金融機関が大きく売られ、ツレて欧米株安に。日経平均は▲180円の2万2,117円で寄り付き、心理的な下値のフシ2万2,000円を割り込みました。後場になると中国・上海株式も大きく下げ、終値は▲440円の2万1,857円と4日続落となりました。

 14日(火)は、前日の欧米市場は引き続き売られたものの、日経平均はリラ安の一服や前日の大幅な下げで買い戻しが先行。また直近4日で805円下げていることや円高一服もあり、+498円の2万2,356円と5日ぶりの大幅反発となりました。

 15日(水)は、前日の欧米株高を受けて買い先行となって+24円の2万2,380円の高値をつけるものの、トルコリラへの不透明感もあり、後場には▲245円の2万1,110円まで下げ、終値は▲151円の2万2,204円と反落しました。

 16日(木)は、前日の米国市場で米中貿易戦争の激化懸念やトルコ情勢への警戒感から欧米株式は反落。NYダウは一時▲334ドルの2万4,965ドルまで売られたことで、日経平均は売り先行となり、一時▲332円まで売られましたが、途中で中国が貿易問題を話し合うために次官を派遣したという報道をきっかけに下げ幅を縮小。前場は+29円の2万2,234円となりました。しかし、後場は上値重く▲12円の2万2,192円を続落しました。

 週末の17日(金)は、前日の米国市場で、米中貿易問題への懸念が後退。ウォルマートやボーイングなど好決算銘柄が後押しし、NYダウは一時+444ドルの2万5,607ドルまで上昇。+396ドルの2万5,558ドルと大幅反発したことで、日経平均も持ち直しの動きとなり、一時+148円まで上昇。終値では+78円の2万2,270円と3日ぶりの反発となりました。ただし、お盆明けのせいもあって売買代金は1兆8,455億円と7月25日以来の2兆円割れとなっています。

 17日(金)の米国市場は、ウォール・ストリート・ジャーナルが「米中貿易会議は11月にも開催の可能性がある」と報道。米中貿易摩擦懸念が一段と和らぎ、NYダウは+110ドルの2万5,669ドルと2月28日以来の高値水準となりました。ただし、為替は1ドル=110.51円で引けており、シカゴ日経先物は±0円の2万2,260円と冴えませんでした。

 

今週の日経平均は2万2,000~2万2,400円水準を基本に、米中貿易協議とトルコの動向に注目

 今週も、基本的にこう着状態が続く中で、海外要因に左右される展開となります。プラスの材料となる場合は、米中貿易摩擦の後退ですが、米中協議が22日、23日に開催される見通しであり、いい方向に話しが進めばドル買い・株買い要因となります。しかし、23日発動予定の160億ドル相当に対する追加関税措置は、回避されないとの見方が多く、米中協議の効果性も疑問となります。また、米国とトルコの対立が欧州経済に波及しかねないとの見方も消えていませんので、波乱要因として残ります。 

 一方で米国の利上げに関しては、22日にFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録が公開されます。また、24日にパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長のジャクソンホールでの講演があり、追加利上げを示唆する発言がでると、ドル買い・円売りとなって株価にはプラス材料となります。

 日経平均のチャートをみると、200日移動平均線が2万2,400円近辺に走っており、目先の上値抵抗ラインとして意識されるところです。お盆明けでまだ夏休みの状況もあり、売買代金、出来高も増加する場面ではないので、2万2,000~2万2,400円水準の中で、もみあうでしょう。日本企業の決算は堅調でしたので、米国と中国、米国とトルコの関係が落ち着けば、いったんアクぬけとして上を目指す可能性は高いと思われます。ただし、本格的な上昇は米国の11月の中間選挙後となるかもしれません。

 8月20日は、朝方は▲3円の2万2,267円で寄り付き、上げに転じる場面もありましたが、一巡後はトルコ情勢の先行き不透明感を背景に円高・ドル安が重しとなって、一時▲119円の2万2,150円まで下げる場面もありました。ただ、その後は上海株式の上昇で下げ渋り▲71円の2万2,199円で引けました。

 

(指標)日経平均

 今週も、米国市場の動きが注目となります。米中貿易摩擦の後退やFOMC議事録公開やパウエルFRB議長の講演で追加利上げの方向がでると米国株式が上昇し、日経平均もある程度は戻りを試すことになります。一方でトルコリラの急落からの新興国の通貨安への懸念もあり、基本的にはこう着状態の中で好材料が出れば戻りが試せるということになります。上値は日足のチャートで200日移動平均線が2万2,400円近辺にあるため、上値として意識されるところです。

 

(指標)NYダウ

 今週は、8月22~23日に開催される米中通商問題での次官級会議が注目される見通しのため、どういう結論に達するのか注目となります。また、8月23日には米国による中国からの輸入品(160億ドル相当)に対する新たな関税が実行される予定です。追加利上げに対する方向性は、22日のFOMC議事録や24日のパウエルFRB議長のジャクソンホールでの講演の内容が注目となります。

 これらが好調で2月27日の2万5,800ドルも突破すると一段高となって、2万6,000ドルを試すことになりそうでです。一方、米中貿易交渉が決裂すれば株価は下落となりますが下値は限定的でしょう。

 

 

(指標)ドル/円

 今週は、米中貿易協議の再開やFOMCの議事録公開やパウエルFRB議長の講演もあり、追加利上げ期待からドルは底堅い動きが期待されます。ただし、トルコリラなど新興国通貨安への警戒感からドルの上昇は限定的となるかもしれません。