波乱続きだった決算発表シーズンもようやく終わりました。今回はいつもと違う「異変」を感じました。それを踏まえた今後の戦略も考えていきます。

 

乱高下が続いた個別銘柄

 8月15日をもって、3月決算企業の第1四半期決算発表が原則終了となりました。いつものことですが、それまで上昇を続けていた銘柄が突然急落したり、逆に下落を続けていた銘柄がいきなりストップ高になったりと、株価が乱高下をした銘柄は非常に多かった印象です。

 筆者も、決算発表シーズンには保有株の急落により必ず損失が生じますので、今回もようやく終わったか、と安堵しているところです。

 

筆者が今まで取ってきた戦略

 ところで筆者が実行している戦略は、決算発表の有無にかかわらず同一です。25日移動平均線を上回っている限り保有を続け、下回ったら売却するというものです。

 ただし決算発表直前の買いは、決算発表後の株価急落リスクが大きいので、できるだけ控えるようにしています。

 決算発表の内容は、プロ投資家であれば、おおむねは把握していることが多いです。そのため、決算内容が良いと予想される銘柄は決算発表前から株価が上昇トレンドとなり、25日移動平均線を上回っています。そうした銘柄を保有しておけば、好決算の発表により株価はさらに上昇する可能性が高くなります。

 逆に、決算内容が悪いと予想される銘柄は決算発表前から株価が25日移動平均線を下回っていることが多いです。そうした銘柄を保有しないようにしておけば、冴えない決算発表により株価が急落しても、何ら問題ありません。

 もちろん、25日移動平均線を上回っている銘柄が、期待外れの決算発表により急落することもあります。でも、決算発表前に上昇トレンドである銘柄は、決算発表により株価が上昇するケースの方が多いため、差し引きトータルではプラスとなっていました。これが、筆者が決算発表をまたいで持ち株の保有を継続してきた根拠です。

今回目立ったある「異変」とは?

 ところが今回の決算発表シーズンでは、いつもと異なる動きが目立ちました。それは、25日移動平均線を上回って上昇を続けていた銘柄が、決算発表をきっかけに突然の急落。

 もちろん、さえない決算発表だった銘柄については、株価が急落するのが当然ですから異変ではありません。しかし、決算発表の内容が良いにもかかわらず、株価が急落した銘柄が非常に目立ったのです。特に、筆者が主力の投資対象としている内需系の中小型成長株にそうした動きが目立ちました。

 なぜこのような動きになったのは不明です。株価が長期間上昇を続けている銘柄に対し、決算の結果にかかわらず、決算発表をきっかけにプロ投資家の利食いが出たのかもしれません。

 ただ、私たち個人投資家は、株価が売られた理由はどうでもよく、内需系中小型成長株の多くが売られたという事実、そして今後どのように対応していく必要があるかを考えなければなりません。

 

決算発表前に保有株を売るかどうか?

 決算発表による株価急落を回避するために最も有効な方法は、決算発表の前に、上昇トレンドであっても売る、というものです。

 筆者は、25日移動平均線を株価が超えている銘柄を決算発表前に売らずに保有するという戦略を取っています。

 上でも述べた通り、25日移動平均線を超えている銘柄は、決算発表後に株価が下落するケースより上昇するケースの方が多いからです。

 しかし、決算発表後に株価が下落するケースの方が多いならば、これは決算発表前に保有株を売った方が良いということになります。

 この判断は非常に難しく、悩ましいところですが、例えば決算発表が早期に訪れる銘柄の、決算発表に対する株価の反応をみて、その後の対応を決めるという戦略があります。また、決算発表が近づいてきたら、保有株の数量を半分に落としリスクヘッジをする、という方法も考えられます。

 なお、決算発表前に保有株を売却した場合のリスクは、株価が上昇して利益を得られないことです。一方、決算発表前に保有株を売却しなかった場合のリスクは、株価が急落して損失を被るということです。

 前者のリスクよりも、後者のリスクの方を常に回避したいという方は、決算発表前に保有株を売却しておくのが無難でしょう。

 

株価が下落した保有株に対する対処方法は?

 決算発表により株価が一時的に下落しても、プロ投資家からの見直し買いなどによって、持ち直して再び上昇に転じる、というケースもよくあります。
 明らかに業績の悪化が見て取れるのであれば、決算発表を機に売却するべきですが、悩ましいのは業績が良いのにもかかわらず決算発表により株価が急落した銘柄の場合です。

 こうした銘柄につき、「業績が良いのだから、そのうち株価は戻るはず」と考える個人投資家の方は非常に多いです。ただ、業績のピークより株価がピークをつけやすいのが株価の習性です。株価が先行して天井を付けている可能性を忘れてはなりません。

 また、株式マーケットが今後長期間にわたり下落局面に転じたり、外国人投資家が日本株への売り姿勢を明確にしたならば、たとえ業績が良い銘柄であっても株価が大きく値下がりすることになります。

 そうしたリスクを考えれば、筆者であれば株価が25日移動平均線を下回ったら、いったん売却するようにします。そのうえで、株価がまだ天井をつけていないのであれば、再度25日移動平均線を超えてきますので、そこで買い直せば問題ありません。

 株式投資の経験が浅い個人投資家の方は、長期的な下落相場の恐ろしさをまだ経験していないのでピンと来ないかもしれません。でも、いつ長期的な下落相場に転じるか、誰にも予想できないのです。

 であるならば、いつ長期的な下落相場に突入しても良いように、平時のうちから25日移動平均線を割り込んだ銘柄はいったん売却しておく、というルールを徹底しておくことが財産の大きな目減りを防ぐためには重要だと思います。