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『オフィスビル空室率』や平均賃料は、オフィスビル仲介大手の三鬼商事が、毎月中旬頃に公表しています。2012年には9%台だった東京都心5区の空室率は2%台まで低下しました。空室率の低下に伴い、平均賃料も緩やかながら上昇基調にあります。不動産会社の業績も良好ですが、2020年にかけて、新築ビルの大量供給が予定されています。空室率と平均賃料に及ぼす影響が注目されるところです。

 

【ポイント1】7月の都心5区の『オフィスビル空室率』は低水準で推移

新築ビルの空室率は満室での竣工により低下

 8月9日に公表された三鬼商事の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の7月の『オフィスビル空室率』は2.58%でした。前月に比べ+0.01ポイント上昇しましたが、引き続き低い水準を維持しています。
 新築ビルの空室率は3.56%、同▲0.21ポイントの低下、既存ビルの空室率は2.56%、同+0.01ポイントと小幅に上昇しました。
 7月は、大規模ビル1棟が満室で竣工したため、新築ビルの空室率は前月の大幅低下に続いて低下しました。一方で小規模な成約は見られたものの、新築ビルや竣工予定ビルへの移転などに伴う大型空室の募集や解約の影響も出ていたことから、既存ビルの空室率は小幅に上昇しました。

 

【ポイント2】平均賃料は緩やかな上昇が続く

55カ月連続の上昇

 

 空室率の改善に伴い、賃料は緩やかながら上昇を続けています。7月の都心5区の平均賃料は、前月比+0.47%の坪当たり2万202円となりました。55カ月連続の上昇となりました。需給が引き締まっている状況にあり、平均賃料は上昇が続いています。
 7月は、新築ビルの平均賃料が2万8,065円、同+0.78%の上昇、既存ビルは1万9,965円、同+0.44%とともに上昇しました。

 

 

【今後の展開】企業の根強い需要などが『オフィスビル空室率』を下支え

 低水準の空室率と緩やかな賃料の上昇を受けて、今月発表されている不動産会社の4-6月期決算は総じて良好となっています。東京のオフィスビル市場は、2020年にかけて、新築ビルの大量供給が予定されていますが、好調な企業業績を背景とした企業の根強いオフィスビルへの需要などを背景に空室率の上昇は緩やかとなるとみられます。今後も不動産会社の業績は堅調が続くとみられます。