月跨ぎとなった先週の国内株市場ですが、週末8月3日(金)の日経平均終値は2万2,525円となり、前週末終値(2万2,712円)からは187円安でした。
先週は日銀の金融政策決定会合を通過した後に、企業業績を材料にして上値をトライできるかが注目されました。会合後の国内株市場は買いで反応したものの上値追いには至らず、終わってみれば週足ベースで4週ぶりの下落に転じてしまいました。
まずはいつもの通り、下の図1で足元の状況の確認から始めます。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2018年8月3日取引終了時点)
前回レポートのタイトルは、『日本株の業績相場を邪魔する「前門の虎」と「後門の狼」』と題しましたが、週末にかけて相場の重しとなったのは、その「前門の虎」に該当する米国の通商政策(特に対中国)への警戒でした。
「またか」という感じではありますが、かといって今回は大きく株価が下がった印象はありません。あらためて上の図1で先週1週間のローソク足の値動きを辿ると、2万2,500円を挟んで下落で始まって反発し、再び下落という展開でしたが、75日移動平均線がサポートになっていることが分かります。
実は、ここ数カ月間の日経平均が月末近くになると75日移動平均線付近を意識する傾向が輪舞曲(ロンド)の如く繰り返されています(下の図2)。
■(図2)日経平均(日足)の動き その2(2018年8月3日取引終了時点)
4月下旬は75日移動平均線でもみ合った後に上抜け、5月下旬はサポートとなって反発、6月下旬はもみ合った後に下抜け、そして7月は再びサポートになっています。
こうした動きから読み取れるポイントは、(1)チャートの形がダブルトップから保ち合いへと変化したことと、(2)節目の2万3,000円を三度試していること、そして(3)直近は以前にも紹介した7月20日の「迷い線」と75日移動平均線の狭い範囲での推移が続いていること、(4)上昇と下落の値幅がほぼ同じ状況が続いていることです(下の図3)。
■(図3)日経平均(日足)の動き その3(2018年8月3日取引終了時点)
(2)については、ローソク足の分析手法である酒田五法によれば、「三山」と呼ばれる形で天井をつけることが多いとされるパターンで、「さすがに3回も上値をトライして抜けきれなれば天井を形成するだろう」という考え方が背景です。
本来であれば下方向への意識が強まってもおかしくはないのですが、75日移動平均線をサポートに(3)の展開になっているため、今のところ、あまりその雰囲気は感じられません。ただ、値幅の狭い動きが2週間ほど続いていますので、ジワリと市場のエネルギーが蓄積されつつある状況と見ることができます。「そろそろ大きな動きが出てくるかもしれない」と意識しておく必要がありそうです。
もっとも、国内株市場はお盆を迎え、商いが盛り上がりにくい時期であるほか、好決算に反応する個別銘柄の動きも悪くはありませんし、今週の10日には決算発表のピークを迎えます。市場全体のムードがイマイチでも買える銘柄が存在するあいだは、市場のムードを大きく悪化させる材料が出ない限り、崩れにくいと考えることができます。
そのため、今週は下の図4のように、HLバンドと移動平均線の範囲内での推移がメインシナリオとなります。
■(図4)日経平均とHLバンド (2018年8月3日取引終了時点)
ただし、今週は9日に日米貿易協議が始まりますので、米国絡みの通商摩擦への警戒感は維持されることが見込まれるほか、中国の貿易統計(7月分)も今週公表される予定です。中国の貿易統計については前回(6月分)の結果が強かったことで、「まだ米中貿易摩擦の影響が出ていない」と受け止められ、相場上昇のきっかけになった経緯があるだけに、今回も結果次第では相場を動かす材料となるかもしれません。
※8月13日(月)の「テクニカル風林火山」は休載します。
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