夏休み、トレードを「お休み」してもいいのか

 夏休みと言えば仕事を休んでのんびりする数日を送る、という人も多いと思います。お盆に全社的に休業となる会社では一週間以上の休みとなることもあるはずです。

 こうした時期にせっせと売買を行う個人投資家もいますが、機関投資家も会社員であることが多いため、バカンスシーズンは割とのんびりしていて薄商いであったりします。値動きののんびりさにびっくりする人もいるかもしれませんね。

 そこで、個人投資家においては「この時期、トレードをお休みすることはアリか?」ということを今回は考えてみたいと思います。

 実はホリディシーズンのトレードを考えることは、自分の投資スタイルをはっきりさせ、なんとなく投資から卒業するステップかもしれません。

外国の避暑地ではマーケット情報だけはテレビでチェックできる

 外国では避暑地のテレビにも必ずマーケットチャンネルが映るといいます。私も新婚旅行でセイシェル(松田聖子の歌にも登場した楽園と呼ばれる島国)まで出かけてみたら、フランス人を中心としたバカンスのホテルであるにもかかわらず、テレビにはちゃんと経済ニュースチャンネルがあり感心しました。

 眺めているとNYダウや日経平均、トピックスの数字が確認でき、自分の資産の騰落状況が把握できます。

 もし、市場が急落したときの情報をすぐにキャッチアップできれば、必要あれば国際電話をかけて売りの指示を出せる、というわけです。

 しかし、せっかくのバカンスなのに株価情報をチェックし続けるなんてしんどい話です。

あなたが休んだところで市場には何の影響もないことを認めよう

 トレードにのめり込んだばかりの初心者はついついマーケットに誤解をしてしまいます。それは、「自分が何らかの影響をマーケットに及ぼしている」という自信過剰(思い込み)や「マーケットに参加し続けなければいけない」というような強迫観念です。

 こうした感覚はけっこう根強いので、うっかりしているとリラックスすべき時間にリラックスできないことがあります。投資初心者の「初めての夏」ほど、参加しなければいけないという強迫観念には要注意です。

 現実問題として、相場に常に参加しなければいけない理由はほとんどゼロです。あなたがマーケットをチェックしようとしまいと、株価の動きは同じですし、現実的にすべての動きをウォッチし続けることはできません。もちろん、あなたの数回のトレードが市場に影響を与えることもできません。

 また、世界経済が完全に崩壊するような急落が生じたのでなければ、短期的な値動きであわてて売り買いする必要もありません。ほとんどの下落は時間をかけて戻る可能性が高いですし、仮に下落基調が確定し手放すことを決断したとしても、その数日で致命的になるなら「バカンス前」の投資ポジションがおかしいのです。

トレードのスタイルにもよるが、中長期の投資家であれば続けていけばいい

 あなたがもし、投資経験がまだ数年未満で、マーケットウォッチをしなければいけないという強迫観念があるとしたら、市場が開いている時期にあえて株価を見ない、というスタイルを覚える頃合いだと思います。

 仕事はお休みをして、休暇中はマーケット情報をスマホでチェックすることは止める、というのをこの夏の「宿題」と考えてもいいでしょう。

 この場合、投資資金をすべて待避させるのではなくポジションを取りつつ、投資を継続することを考えてみてください。中長期的スタンスで投資を考え、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)を使っているなら、なおさら今日明日の値動きなど気にしない投資スタイルに変えていくべきなのです。

 最初は不思議な感覚があるかもしれませんが、全力でリラックスしてみましょう。じきにマーケット依存になりかけていた自分に気がつくことと思います。無関心であるのはよくありませんが、のめりこむのが正しいわけではないのです。

 休みを取ることは人生においては重要です。あなたがリラックスするべきときにリラックスできない要因があるなら、見直しを考えてみましょう。この夏の「宿題」が、お盆明け以降の、マーケットと向かい合う時間配分をほどほどにするきっかけになればいいと思います。

 今年の夏は暑そうです。あなたのバカンスが、心安まる、リフレッシュタイムとなりますように。