前日(7月28日)の市況 ドル/円:米長期金利低下と地政学リスクが重石

週末のドル/円は下落。

NY時間に米長期金利の低下と北アジアの地政学リスクの高まりから110.53円まで下落。6月15日以来の安値をつけました。その後も111円に戻ることができずに、終値は110.728円(前日比-0.559円)。高値は、東京時間の朝につけた111.33円でした。

週末発表の米国の経済指標は力強さに欠ける内容でした。

米国の4-6月期GDP(国内総生産)は前期比2.6%でほぼ予想通りの結果だったものの、第1四半期は下方修正。イエレン議長が注視するインフレ指標であるPCE(個人消費支出)コアデフレーターは、前期比年率+0.9%。前回の2.0%と比べると物価上昇の鈍化が明らかでした。FRB(連邦準備制度理事会)が利上げを急ぐ必要はなくなったとの考えが強まり、米国の長期金利が低下しました。

さらに、日本時間深夜に北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射して日本海に着弾。地政学リスクの高まりも円買いにつながりました。

ドル/円15分足チャート[7月28日]:ドル/円は110円台へ下落

ドル/円4時間足チャート[7月1日~7月29日]:7月後半は円高相場

今週の見通し:金曜に米国の雇用統計。堅調の予測だが・・・

米国国防総省は、ミサイル発射を受けて「軍事的な対抗措置の選択肢」について協議しているとの報道も伝わっています。今週は、地政学リスクを懸念した投資家マインドの後退で、さらに円高が進む可能性があります。

経済指標では、金曜日に米国の雇用統計(7月分)の発表が控えています。市場予想では、非農業部門雇用者数変化は18.0万人で堅調の見通し。失業率は4.3%へ下がり、また平均労働賃金は0.3%と、前月比上昇が期待されています。