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日本の株式市場は、世界的な景気回復基調や国内の企業業績の好調を評価する一方、米中貿易摩擦の一段の激化などを懸念して、日経平均株価は方向感のない動きが続いています。こうしたなか日経平均株価をTOPIXで割り、両指数の相対的な強さを示す『NT倍率』は、2010年以降緩やかに上昇してきましたが、今年に入り上昇が加速しました。ここでは『NT倍率』の上昇の要因と今後の動向を検討してみたいと思います。
【ポイント1】『NT倍率』は上昇が加速
『NT倍率』は日経平均先物の買いなどで上昇する傾向
『NT倍率』は今年に入り上昇が加速し、7月13日には13.06倍と13倍を上回りました。『NT倍率』は、上昇局面の後半などでの日経平均先物買い、それに伴う裁定買いで上昇する場合や、値嵩株や輸出関連株が相対的に上昇する場合などに拡大する傾向があります。
【ポイント2】今回は構成比率の高い一部銘柄の上昇などが要因
『NT倍率』拡大は先物買いなどが要因ではない
昨年末時点で『NT倍率』は12.52倍でしたが、そこからの拡大について検証してみます。ネット裁定買い残は5億株程度まで半減しており、先物買いによる上昇ではありません。また、内需関連株の方が総じて上昇率が大きく、電機機器などの輸出関連株主導の上昇でもありません。
日経平均株価は225銘柄の株価を合計して算出されます。現状の構成比率をみるとトップのファーストリテイリングが8%を上回り、上位25銘柄で約50%を占めており、構成比の高い銘柄の株価動向に大きな影響を受けます。構成比率上位のファーストリテイリング、エーザイなどの株価がこのところ上昇しており、『NT倍率』の上昇はこの影響を受けたとみられます。
構成比の高い銘柄は日銀の保有比率が高く、日銀のETF買い(一部は日経平均型)の影響もあるようです。
【今後の展開】『NT倍率』は高水準ながら変動の大きい動きとなろう
『NT倍率』は、日経平均株価の構成比率が高い銘柄の影響が大きく、これらの個別銘柄要因などにより高い変動率が続くとみられます。こうした銘柄はバリュエーションが高く、『NT倍率』の13倍は割高な水準と考えられます。ただし、ネット裁定買い残が低水準のため、これが増加する時には、一時的には更に上昇する可能性もあると思われます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
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