新車市場の回復は8月後半以降、18年中間決算は減速見通し

 18年の中国自動車業界では、新車販売が持ち直す半面、在庫増大を受けた各社の値下げが目立つ状況となっている。乗用車(主にセダン車)の売れ行き回復や商用車の予想上振れを受け、上期の新車販売伸び率は前年同期比5.6%まで回復したが、閑散期を迎えてエンドユーザー需要はさえず、業界全体が在庫圧力に直面しているのが現状。BOCIは16~17年の好決算を経て、18年6月中間期にはメーカーの大半が成長減速に直面するとみている。また、7月については小売台数の前年同月割れが続く可能性が高いとし、新車市場の回復は8月後半以降となる見通しを示した。一方、中国政府が自動車業界の対外開放を加速させる中、BOCIはこの先、競争激化を受けた業界の集約化が加速すると予想。個別の勝ち負けがより鮮明になるとみて、大手銘柄を選好し、個別では完成車メーカーの吉利汽車(00175)や自動車部品の福耀ガラス(03606)を有力視している。

 中国汽車工業協会の統計を見ると、主要メーカー17社の総売上高は18年1~5月に前年同期比13.7%増と、販売台数伸び率(同5.7%)を上回った。平均販売価格の上昇が背景。ただ、17社の税引き前利益は同1.2%減の計1,663億元。税引き前利益率は9.6%に後退した。

 BOCIによると、18年6月中間期には、前年同期比50%の増益見通しを発表済みの吉利汽車を例外に、多くのメーカーの決算が市場の予想通りか、あるいは予想から下振れする見込み。長城汽車(02333)、ブリリアンス・チャイナ(01114)、北京汽車(01958)の3社に関しては、中間期の増益率(各社とも前年同期比40%超の見通し)が販売台数伸び率(約2~15%増)を上回るとみられるが、これは主に前年同期実績の低さや会計方針の調整によるもの。一方、販売台数の下押しや独自開発ブランド「伝棋」(Trumpchi)の苦戦を受け、広州汽車集団(02238)の増益率は約10%に減速する公算が大きく、東風汽車集団(00489)は減益決算となる可能性がある。

 部品メーカーでは福耀ガラスが15%の増収率を維持する見込み。ファンダメンタルズの改善や為替差益の計上で20%超の増益が予想される。ディーラー銘柄では、中升集団(00881)の増益率に関する市場予想が40%超と、同業銘柄を上回っている。

 BOCIはピークシーズン入りに伴い、新車市場が8月後半から持ち直すとの見方。18年の乗用車販売台数について、前年比3%増との予想を据え置いた(セダンの予想台数を1.5%減から3%増に上方修正する半面、SUVを10%増から8%増、MPVを前年並みから14%減に下方修正)。商用車に関しては通年予想を同5.1%に引き上げている。

 香港上場の自動車銘柄の現在株価は、18年予想PERで平均8.4倍。完成車メーカーの予想PERは2010年以降のヒストリカル平均値を下回る水準にあるが、BOCIはピークシーズン入りに伴う8月後半以降の株価回復を見込んでいる。