連休明けとなった先週の国内株市場ですが、週末7月21日(金)の日経平均終値は20,099円となりました。前週末終値(20,118円)からは19円ほどの小幅安で、ほぼ横ばいとなりました。

(図1)日経平均(日足)の動き(2017年7月21日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

まずは、足元の状況を上の図1で確認しています。

先週の日経平均の値動きを辿ると、節目の2万円台と25日移動平均線を共に下抜ける動きを見せるスタートとなりましたが、相場が崩れることはなく、その後は値を戻す展開となりました。ローソク足の並びは陰線の後に陽線が3本続く格好です。堅調ではあるものの、25移動平均線を挟んだもみ合いで、上値が切り下がる一方で、下値が切り上がる形になっているため、様子見や膠着感の印象が漂っています。

また、トレンドの状況を平均足とMACDの組み合わせで見てみますと、平均足は陽線と陰線が頻繁に入れ替わる展開で方向感が掴みにくい中、MACDの向きが着実に右肩下がりになっていて、短期線が中期線をした抜けるクロスを意味する0円が近づいています(下の図2)。

(図2)日経平均の平均足(日足)とMACD(2017年7月21日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

前回、MACDが0円を下抜けたのは3月下旬でしたが、そこから下げのピッチが加速した経緯があるため、注意が必要です。当時は米トランプ政権への期待が剝落し始めた環境でしたが、今回は国内企業の決算シーズンの本格化を迎える相場環境です。

とはいえ、すでに決算を材料に株価が反応した銘柄がいくつかありますが、これまでのところ、全体としては概ね良好なものが多いため、決算シーズンをきっかけとして日経平均が上振れる可能性があります。ただ、3月期決算企業の1Q決算では、業績を上方修正する企業は一般的にそれほど多くないと言われており、期待先行で上昇してきた銘柄などは材料出尽くしとなる点には注意が必要です。

以上のように、足元の日経平均は下振れを警戒しつつもレンジ相場が継続しているわけですが、同じ主力株指数のTOPIXに目を向けると、先週20日(木)に年初来高値を更新しています(下の図3)。

(図3)TOPIX(日足)の動き(2017年7月21日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

確かに、TOPIXについては、25日移動平均線をサポートに上昇基調を描いているように見えますが、もう少し細かく見ていきます。TOPIXにはいくつかの分類に応じた株価指数があります。有名なものとしては「コア30」などが挙げられますが、まずは、時価総額や流動性の規模によって分類されたもので比較してみます(下の図4)。

(図4)TOPIX指数の値動き比較 その1(2017年初を100)

(出所:取引所公表データを元に筆者作成)

2017年のあたまを100とした場合、TOPIXそのものは7月21日(金)取引終了時点で104.86です。ただ、規模別の指数で見ると、「コア30」が100.20と年初とあまり変わっていないのに対し、「ラージ70」が106.18、「ミッド400」が106.64、「スモール」が110.93となっていて、パフォーマンスの良さは大型よりも小型の方が優位になっています。

さらに、バリュー株(割安株)とグロース株(成長株)で分類した指数でも比較してみます(下の図5)

(図5)TOPIX指数の値動き比較 その2(2017年初を100)

(出所:取引所公表データを元に筆者作成)

こちらは、「バリュー株指数」が101.54なのに対して、「グロース株指数」が108.36と、グロース株が優位であることがわかります。

つまり、最近の相場環境は、「マクロ環境や政治面、地政学的面での不安がないわけでもないが、ある程度のリスクが取れる中では、儲かっている企業の株は買える」という事なのかもしれません。とはいえ、株価指数を押し上げるには、出遅れている主力バリュー株の物色が欠かせません。本格化する決算シーズンが主力バリュー株への見直し買いのきっかけになるのかが大きなカギを握っていると言えるのかもしれません。