図:NY金 先物 (期近)日足チャート
単位:ドル / トロイオンス
出所:マーケットスピードより楽天証券作成
ドルの下落そしてゴールドの上昇がはっきりと進んだ一週間でした。一週間の引けがほぼその高値となり、買いのエネルギーがまだ残っていると考えられる動きです。その背景の最大の要因はドルの下落。ドルインデックスは14ヶ月ぶりの安値を更新、ゴールドは1,200ドルを割り込まなかったこと(先週の安値は1,204ドル)もあり、ショート筋の買い戻しも入り、ほぼ今週は一直線の上昇となりました。このドル下落の背後には、FRB議長のハト派的な議会証言、経済指標の悪化、そして米共和党によるトランプ政権のオバマケア廃案の放棄と一連の米国に対する失望があります。今後直近はFRBの金利政策よりもむしろトランプ政権の政策実行能力の方に注意が集まってくるのではないでしょうか。オバマケアの廃案が実行できないとすれば、彼が言っていたインフラへの大規模な投資や金融規制緩和がはたして実現できるのかどうか。投資家がそもそもドル・株を買っていたその理由がまだ有効なのかどうか。これらは今後のドルの動き、そしてゴールドの動きを左右する最大の要点のはずです。マーケットは夏休みに入っていますが、ゴールドはまだ上値がありそうです。ゴールドの下値にはやはり実需の買いが控えているということも確認できました。大きく下げの目は無さそうですね。
ただし金曜日の上げはドル安ときれいに呼応、円建てゴールドはほぼ動かずということになります。
CFTC Commitment of Traders Report as of 18 Jul 2017(2017年7月24日(月)掲載分より)
出所:池水氏のレポートより抜粋
右軸:投資家ポジション(トン)
左軸:ドル建てゴールド価格
投資家ロングポジションは498トンから226トンへ。2016年2月以来の低レベル。しかしここから大きく戻っているはず。
ドラギ総裁のハト派発言でドル下落(2017年7月21日(金)掲載分より)
昨晩はECBドラギ総裁のハト派的発言をきっかけにユーロが大きく上昇、それに応じてゴールドも1,238ドルから1,247ドルまで10ドル近く上昇しました。ドルインデックスは急落、10ヶ月ぶりの安値を更新しました。ECBの政策金利は据え置きでしたが、その後の会見でのドラギ総裁は、金融政策に対して市場の感覚以上にハト派的なものでした。ECBとしてはまだ金融緩和により景気刺激策を止める計画はない、とこのところの彼の発言を否定するような文言であったためです。ドル売りに拍車がかかり、メタルはゴールドを中心に変われることになりました。しかしその中でパラジウムだけが下落基調。まあ他のメタルが下落基調のときにパラジウムだけが上昇したことが続いたことを考えるとこういうこともありうべしだとは思いますが、なぜ今週パラジウムだけが下がっているのかがいまひとつよくわかりません。
Summer Doldrums(夏枯れ) starting?(2017年7月20日(木)掲載分より)
昨日は静かなマーケットでした。今週の戻りにマーケットも一段落といったところでしょうか。夏休みですね。もうしばらく動かないのでは。ゴールドの戻りの最大の要因はやはりドルの弱さですね。昨日も書きましたが、ドルインデックスは今年の最安値。ゴールドは買われる状況ですね。この傾向、まだまだ続くのではないでしょうか。トランプ政権の言ってたこととできてることのギャップはドル売りにつながって当然だと思います。(株価がいまだに史上最高値にいることがしっくりきませんが。)
ゴールド続伸、ドル今年最低値(2017年7月19日(水)掲載分より)
ゴールドはやはり戻り足が早いですね。1,200ドルを割ることができなかったこと、そしてFRB議事録がハト派的な内容であったこと、その後に出てきた経済指標が悪い数字が多いことから、ゴールド、米国債が買われ、ドルが売られています。ドルインデックスは今年の最安値を更新、94.65となっています。ちなみにこのレベルは昨年8月以来であり、その時のゴールドは1,350ドル近辺でした。ドルとの関係だけでみるとゴールドはまだまだ安いということができるかもしれません。
またオバマケアの廃案を目指した法案が十分な支持が得られないと共和党がその検討をやめるとしたことが、政権の将来にさらなるダメージを与えたこともドル売りの要因になったようです。トランプ大統領が誕生したばかりのころ、その経済の拡大を期待して投資家は株に対する投資をすすめました。トランプラリーの根底にあったのは、巨大なインフラへの投資、そしてその他のビジネスへ有利な政策を期待してもものでした。しかし、いまやその公約は絵に描いた餅であったことが明らになり、このままいくと米国株式市場はどうなるのかと思い始めた投資家も多いはず。ゴールド1,200ドルへのdipはやはり買いでしたね。
ゴールド反発1,230ドル台(2017年7月18日(火)掲載分より)
今週はゴールドの底値を試した一週間でした。しかしやはり1,200ドルは割ることがありませんでした。下がって来たことにより、弱気な見方が広がっていましたが、逆に底値が固く、やはり下がったところは買いたい向きの方が多かったようです。おそらくショートの買い戻しも週末に向けて入ったものと思われます。「保険は安いうちに買っておけ」という考え方に僕も賛成です。ドルの戻しも一服、やはり長期的なドルのダウントレンドもまだ変わってないようです。夏休みシーズンで静かな中、ゴールドは動かないか、上がるかではないでしょうか?これ以上大きく下げることはないのでは?
Silver 割安続く(2017年7月18日(火)掲載分より)
金銀比価が相変わらず75を超えています。ゴールドと比べてのこの割安さと加えて、絶対値としての15ドル台はやはりシルバー安すぎではないでしょうか。Nymexの投資家のロングポジションが1万枚を割り込んで3,000枚台(1枚 =5,000toz)。ほとんどポジションがない状態。これは売り圧力がほぼなくなっているという見方もできます。そして買う必要がある実需需要家にとっては非常に魅力的なレベルでもあると考えます。おそらくそういった「実需の買い」がシルバーを支えるのでは。実際に現物は不足気味になりつつあります。15ドル台は拾いどころ?
CFTC Commitment of Traders Report as of 11 Jul 2017(2017年7月18日(火)掲載分より)
出所:池水氏のレポートより抜粋
右軸:投資家ポジション(トン)
左軸:ドル建てゴールド価格
投資家ロングポジションは327トンから498トンへ急回復。
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