今年に入り、波乱相場が続く日本株。しかしこれを生き残ることができなければ株式投資で成功はできません。波乱相場を乗り切るためにはどうすればよいのか、筆者がお伝えしたいことがあります。

 

下降トレンドでは株を保有しない

 個人投資家にとって、2018年前半は厳しい相場環境でした。株価が大きく値下がりした銘柄も数多くあります。

 そこで今回は、実際に身銭を切って投資している「個人投資家」としての立場で、筆者自身が実際に波乱相場に対してどのような考えで立ち向かっているかをお伝えしたいと思います。

 筆者は、株式投資でのルールを客観化、明確化し、それを実行しています。その1つが、「下降トレンドでは株を保有しない」というものです。

 筆者の場合は25日移動平均線を下回っている局面を下降トレンドと判断しています。保有株が25日移動平均線を割り込んだら速やかに売却し、25日移動平均線を株価が下回っている限り新規買いは行わない、というルールです。

 たったこれだけで、波乱相場であっても最小限の損失に抑えることができ、株価下落の局面を乗り切ることができます。

 個人投資家が株式投資で失敗する最大の要因は、「買った株が大きく値下がりして多額の含み損を抱えてしまうこと」に他なりません。

 ですから、この失敗を避けることが重要です。25日移動平均線を割り込んだばかりのタイミングは、大きく値下がりする前の、下落の初期段階です。この時点で保有株を売却しておけば、その後どんなに株価が値下がりしても、一切ダメージを負わなくて済むのです。

 

ファンダメンタルは重要視しない

 もう1つ、筆者が波乱相場で気を付けていることがあります。それは「ファンダメンタルにこだわり過ぎない」ということです。ファンダメンタルは、「業績」と読み替えていただいても結構です。

 株価が下落してくると、好業績の銘柄に割安感が強まってきます。単純に考えて、好業績であることに変化がなければ、5,000円の株価だったものが4,000円まで下落すれば、割安になったといえます。

 でも筆者は、たとえ好業績の銘柄の株価が大きく値下がりしても、飛びついて買うということは絶対にしません。

 なぜなら、株価というものは上にも下にも行き過ぎることが多々あるからです。株には「バブル」だけではなく「逆バブル」もあります。

 さすがにここまで値下がりしたら割安だよね、という水準からさらに株価が30%、50%と下がることもあります。それを踏まえると、単に5,000円の株価が4,000円に値下がりしたからと言って、手放しで喜んで買うことはリスクがあります。

 もう1つ、こちらの方が怖いのですが、株価の先見性により、好調であった業績の伸びが鈍化するなどという予測から株価が大きく値下がりすることがあります。
 5,000円の株価が4,000円に下がっても、それが業績の鈍化を織り込んだものであったとしたなら、決して割安になったとはいえません。

 株価が大きく下落している理由が、相場全般が波乱相場だからそれにつられているだけなのか、それとも業績に陰りが見え始めたからなのかは後になってみないと分かりません。

 そうであるなら、たとえ好業績の銘柄の株価が大きく値下がりしていても、下降トレンドの間は手を出さない、というようにしておいたほうが、大ケガを防ぐことができます。

絶対に結果論で考えない

 このような話をすると、「いやいや、波乱相場で無理に保有株を売らなくとも、今までもそのまま持ち続けていたら株価は戻っている。だから売る必要なんてないよ。」と思われる方もいるでしょう。

 確かに、5,000円だった株価が4,000円に下がっても、しばらくすると5,000円を回復していた、というケースは多々あります。

 でも、株式投資ではこの考え方こそが、再起不能の大失敗につながりかねないのだと理解してください。

 5,000円だった株価が4,000円に下がっても、やがて5,000円を回復すると確信を持って言えますか?本当に、4,000円から5,000円になるのですか?
 4,000円で下げ止まらず、3,000円、2,000円、1000円、そして500円と底なし沼のように下落していく可能性はないのですか?

 直近の約6年間は、アベノミクス相場による長期上昇相場が続いています。そのため、個別銘柄も、一時的に値下がりしてもしばらく時間が経つと株価は元に戻る、というケースが多くあります。

 しかしそれは、たまたま過去6年間でみればそうなっただけ、という「結果論」です。相場環境が悪化すれば、5,000円の株価が4,000円になった後、5,000円に戻らず3,000円、2,000円・・・と値下がりを続けることも十分考えられるのです。

 株価が多少下がっても今までは持ち続けていれば株価は戻ったかもしれません。でも将来は誰にも分かりません。

 だから筆者は25日移動平均線を割り込んだら保有株を売却しているのです。これを徹底しているから過去の急落・暴落相場も小さい傷で生き残ってこれたのです。
 くれぐれも、今までは大丈夫だったかもしれないが今後はどうなるか分からない、という考え方を持つようにしてください。株式投資では、たった1度の大失敗が命取りになりかねないのですから。

 

我慢して持ち続けてもろくなことがない

 専門家・評論家の中には、株価下落局面で売却してしまうことこそが間違っている、という人もいます。

 業績の良い銘柄を選んで買っているのだから、株価が下落しても持ち続けていればよいし、逆に株価が下落したら安く買うことができるから喜ばしいことだ、という論調です。
 だから、株価が下落しても我慢して保有を続けるべきだ、というのです。

 しかし筆者は、このような考え方には反対です。

 株を持ち続けた結果、株価が元に戻るという保証はどこにもありません。それどころか、冒頭で申し上げた通り、個人投資家の失敗の最大の要因は、株を持ち続けた結果大きく値下がりして多額の含み損を抱えてしまうことなのです。

 ということは、株価が下がっても我慢して持ち続けるという行為こそ、大きな失敗につながるため避けるべきなのです。
 実際、筆者の周りにも株価が戻ると信じて持ち続けた結果、買値から30%、50%と株価が値下がりしてしまい、どうすることもできないという個人投資家は数多くいます。

 

平時のうちにルールを作り、実行するクセをつけておこう

 一寸先は闇です。将来株価がどうなるかは、誰にも予測することができません。だとするならば、いつ株価が急落しても対応できるように、常日頃から準備をしておくことが重要です。

 筆者であれば、それが「下降トレンドになったら保有株を売却するクセを付けておく」ことになります。これを徹底することで、株価下落局面の初期段階で売却することができるからです。

 阿鼻叫喚の暴落、急落を経験したことのない個人投資家の方にはピンと来ないかもしれませんが、実際に暴落、急落が目の前に生じると、おそらくパニックになり何も行動できなくなります。

 だからこそ、平時からしっかりと株式投資のルールを作り、それを守ることを徹底し、株価急落局面が来ても冷静に同じ行動ができるようにしておく必要があるのです。