予想以上の成約好調が元安懸念をカバー、18年上期に好決算見通し

現地コード 銘柄名
03333

中国恒大集団

(チャイナ・エバーグラン・グループ)

株価 情報種類
 21.35HKD
(7/12現在)
 株価
 企業情報
 チャート

 BOCIによれば、中国恒大集団が17年末時点で未計上だった成約済み物件の販売収入は5,000億元に達しており(収益計上は物件引き渡しベース)、続く18年6月中間期の計上分は2,900億元を超える見込み。その他収入を合わせると、中間期の売上高は3,000億元に上り、前年同期比で約60%の大幅増収を達成する可能性が高い。同期のコア純利益マージンは控えめに見積って9.5%(17年上期実績は11%)。非支配株主持ち分の拡大による効果などで、同期の純利益は同30%増の285億元となる見通しという。また、18年上期にはデレバレッジ目標を達成する可能性が高く、BOCIは純負債比率が17年184%から約140%に低下するとみている。現在株価は18年予想PBR(株価純資産倍率)で1.5倍の水準にあり、18年予想ROE(株主資本利益率)が30%を超えることを考慮すれば、魅力的との見方。株価の先行きに対して極めて強気の見通しを維持している。

 18年上期の成約額は3,040億元に上り、通期目標(5,500億元)の達成率は早くも55.3%に達した。これに伴い、BOCIは通期の成約予想を10.5%上方修正し、6,080億元に設定している。また、上期の成約物件の平均分譲価格は1平方メートル当たり1万467元と、17年の9,959元を5.1%上回る水準。35%強の粗利益率を維持した可能性が高い。

 17年末時点で未計上の成約済み物件は5,000億元規模。18年上期の成約分を合わせると、未計上物件は8,040億元に上る。BOCIはこの点を考慮した上で、18年通期の予想売上高を7.7%引き上げ、4,490億元に設定した。一方、18年の粗利益率に関しては36.7%との予想を35%に下方修正したが、これは地方当局が不動産引き締め策として「値上げ制限」を実施していることが理由。この2つの要因を反映させた上で、18年のコア利益見通しを2%増額修正し、430億元とした。前年実績比では38.8%の増益となる。

 18年上期の土地取得費は約700億元と、期中の成約額のわずか23%相当。BOCIはこれを受け、17年に184%だった純負債比率が40ポイント低下するとみている。また、18年にはオンショア債、オフショア債のいずれの償還期もなく、財務費用の増大圧力も軽減される見通しという。うちオンショア債175億元分に関しては18年下期のプットオプション(繰上償還請求)行使も可能だが、投資家との協議の下でこれを回避することが可能となる。

 BOCIは成約状況の予想以上の好調が人民元相場に絡む不透明感を相殺するとみて、同社の1株当たり予想NAV(純資産価値)を50.53HKドルに維持した。現在株価は18年予想PBRで1.5倍、同予想PERで5.7倍の水準にあり、予想NAVに対するディスカウント率は57.7%。力強い収益率やバランスシートの改善を理由に魅力的な水準にあると指摘し、株価の先行きに対して極めて強気の見通しを継続している。