第三者割当で上海同業との提携強化、中国航空市場は堅調持続へ

現地コード 銘柄名
00670

中国東方航空

(チャイナ・イースタン・エアラインズ)

株価 情報種類
 5.09HKD
(7/11現在)
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 中国東方航空はA株およびH株の第三者割当増資を行う計画を明らかにした。政府が推進する「混合所有制」(国有企業に民営資本を導入する)改革の一環であり、引受先は同業の上海吉祥航空(603885)とその親会社である上海均瑶集団(JuneYao Group)、政府系投資ファンドの中国国有企業結構調整基金の3者。増資の完了後、親会社の中国東方航空集団公司の持ち株比率は56.4%から49.1%に低下し、上海吉祥航空と上海均瑶集団が合わせて最大11.2%を握ることになる。また、増資を受け、中国東方航空のEPS(1株当たり利益)は13%ほど希薄化するものの、BPS(1株当たり純資産)は10%増加し、純負債比率は低下するという。現在のところ、上海航空市場における中国東方航空のシェアは42%で、上海吉祥航空のシェアが9%。BOCIは増資を通じて両社の提携関係が深まり、競争環境が和らぐとの見方だ。また、18~19年には航空需要の伸びが座席供給量の増加ペースをやや上回るとみて、運賃の小幅の上昇を予想。セクター全体にプラスとし、特に同業銘柄に比べてASK(有効座席キロ:座席数×飛行距離)が小さい中国東方航空にとってメリットが大きいとしている。一方、航空銘柄にとっては人民元安が逆風となるが、BOCIは短期的な為替リスクは現在株価にほぼ反映されたとの見方。同社株価の先行きに対する従来の中立見通しを強気に引き上げている。

 第三者割当ではA株を最大で16億1,600万株、H株を最大で5億1,800万株発行する予定。増資前発行済み株式総数の16.5%、11.1%に当たり、A H株総数の14.8%に相当する。資金調達総額はそれぞれ最大118億元、35億5,000万HKドル。航空機18機やジェットエンジンの購入、運転資金に充当する。増資の実施には株主総会での承認や関連当局の認可が必要。3者が引き受ける新株のロックアップ期間は36カ月となる。

 BOCIは人民元相場について従来比で元安方向を想定し、18年末予想を1米ドル=6.45元から6.6元へ修正。19年末予想に関しても6.65元から6.85元へ元安方向に修正した。これに伴い、中国東方航空の18~20年の予想EPSを15~25%減額修正。18~20年の予想ROEを8.3%、10.8%、13.1%に設定した(増資前)。

 また、利益見通しの減額を受け、H株目標株価を引き下げたが、新たな目標値は18年予想PBR(株価純資産倍率)で1.25倍、19年予想PBRで1.15倍の水準。◇ROEの堅調見通し◇増資による純資産の拡大◇中国航空市場のファンダメンタルズの堅調を理由に、この水準は妥当とした。一方、A株に関してはAH価格差(H株に対するA株のプレミアム率50%)ベースに目標株価を下方修正した。同社にとっては今後も、原油相場や人民元相場の変動が最大のリスク要因になると指摘。◇人民元の対米ドルレートが1%下げるごとに18年純利益が6.9%目減りする、◇原油価格が1米ドル上昇するごとに18年純利益が7.1%目減りするなどの感度分析結果を明らかにしている。