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 情報技術(IT)やロボット等10分野を重点産業として製造業の高度化を目指す “中国製造2025”や、2030年までに人工知能(AI)分野で世界のリーダーとなることを目指す“次世代AI発展計画”などの産業政策の下、中国の産業構造の柱はこれまでの重厚長大産業からハイテク産業へと変化しつつあります。中国の豊富な理系『人材』が、中国の新たな経済発展ステージを支えていくことが期待されています。

 

【ポイント1】中国の難関大学卒業者が続々と高付加価値企業を創立

世界でも群を抜いて多い中国の理系大学卒業者数

 近年の中国の経済成長のけん引役となっている高付加価値企業の創立者を見ると、インターネット検索大手のバイドゥの創業者は北京大学卒、eコマース大手のJDドットコムの創業者は人民大学卒です。中国では北京の北京大学や清華大学が2大難関大学と言われ、このほか上海の復旦大学などが中国を代表する企業家を輩出しています。

 世界経済フォーラムが発表する理系(科学、技術、工学、数学)の大学卒業者数の国際比較(2016年)によると、中国は467万人と世界1位で、2位のインド(258万人)、3位の米国(57万人)を大きく引き離しており、世界でも群を抜いています。

 

【ポイント2】難関理系大学への入学は高年収への一歩

小学校から大学まで受験競争は熾烈で、教育産業も成長

 中国の2016年の新規大学卒業者の初任給を比較すると、業種別では上位5業種のうち4業種がIT関連産業となっています。また、大学の専攻別では、科学・エンジニアリングやITが上位を占めており、難関の理系大学に入学することは高年収を手にする一つの条件となっています。

 こうした背景もあり、中国の難関大学の入試はとても競争率が高く、受験競争は熾烈です。また、大学のみならず小学校から難関校に合格するための塾や予備校に対する需要は大きくなっています。例えば、学習塾の売上高は過去5年で倍以上になったと言われるなど、教育産業も急速に成長しています。

 

【今後の展開】教育の充実化と高まる教育熱が優秀な『人材』を育む

 中国の教育に関する公的支出を見ると、対GDP比では2010年の3.7%から2016年には4.2%に増加しており、中国政府は教育の充実を図っています。政府による教育の充実化と、高まる教育熱により、今後も優秀な『人材』が豊富に育成されていくと考えられます。そして、産業の高度化によりハイテク産業を柱とした産業構造へと変化を遂げる中国の今後の経済成長を支えていくことが期待されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。