「うちの土地、今いくら?」今年も発表!「路線価」で自宅の価格を計算してみよう

 毎年7月初めに発表される土地の「路線価」。相続税や贈与税にて土地の金額を計算するときに使われます。自宅がある方は、どのくらいの金額になるのかチェックしてみてはいかがでしょうか?

 

今年も「路線価」が発表!

 平成30年(2018年)分の土地の路線価が、7月2日に国税庁から発表されました。

 この路線価を見ると、現状の不動産市況が確認できます。30年前のバブル時は、日本全国の不動産の価格が大きく上昇しましたが、現在は都心部こそ地価が上昇している一方で、地方の地価はなかなか下げ止まらないことがよく分かります。

 平成30年中に相続が発生した場合や、平成30年中に贈与を行った場合、土地の評価額の計算は、この平成30年分の路線価を使って行うことになります。例えば平成30年のはじめに相続が発生し、亡くなった方が土地を持っている場合、平成30年分の路線価が発表されるのを待って、相続税の正確な計算をします。

 

そもそも「路線価」ってなに?

 そもそも、「路線価」とはなんのことでしょうか?
 路線価は、毎年7月はじめに国税庁が発表するもので、路線(道路)に面する宅地の1㎡あたりの評価額を表しています。主に相続税や贈与税の計算をする際に用いられるものです。

 この路線価は、一般的に土地の時価とされる「公示価格」の80%の水準になるように設定されています。そのため、路線価を0.8で割り返せば、その土地のおおよその時価が計算できるようになっています。

 ただし、地域によってはこの前提が崩れることも多く、都心部では路線価が時価よりかなり低いエリアも多い一方、地方では路線価が時価よりも高くなってしまっているケースも少なくありません。 

 なお、路線価には上記の他、市町村が発表し、固定資産税の計算に用いる固定資産税路線価というものもありますが、一般に「路線価」といえば、国税庁が発表する路線価の方を指します。

路線価が分かれば自宅の価値が計算できる

 では早速、ご自身や親御さんがお持ちのご自宅の価格を計算してみましょう。

 国税庁のホームページから、物件がある地域の「路線価図」を探しましょう。路線価図は、「都道府県」→「市区町村」→「地名」の順に探していきます。
(参考:国税庁 路線価図のページ) 

 路線価図に記されている数字は、その道路に面している土地の1㎡当たりの価格で、単位は1,000円です。

 例えば、ご自宅の土地の面積が150㎡、ご自宅が面する道路の路線価が「400」のとき、400,000円×150㎡=6,000万円となります。相続税や贈与税を計算する際には、この金額が適用されます。この土地の価格ということになります。

 実際には、土地の形や、いくつの道路に面しているかなどにより、金額を加減算していく必要があるのですが、概算額を求めるのであれば、ひとまず路線価の金額に土地の面積を乗じるだけでよいと思います。

 なお、路線価図に記されている数字のあとについている「C」や「D」といったアルファベットの記号は、借地権割合を表しています。詳細を説明すると長くなってしまいますので、ここでは割愛させていただきます。

 路線価図には、目印となる建物などがあまり載っていませんので、土地勘がないと探している物件がどこにあるのかが見つけにくいです。その場合は、ネットなどで物件近辺の地図を見たうえで、路線価図と見比べると比較的簡単に探し当てることができます。

 

路線価がついていない土地はどうやって計算するの?

 実は、路線価は国内の全ての土地についているわけではありません。路線価が付されている土地は、主に市街化区域に存在する都市部のエリアのみです。

 それ以外のエリア、例えば市街化調整区域など路線価がついていない土地については、「倍率方式」という方法で計算されます。

 倍率方式とは、固定資産税評価額をもとに土地の価格を計算するもので、国税庁のホームページに路線価図とともに掲示してある「評価倍率表」というものを使って計算します。
 固定資産税評価額は、毎年市町村から送られてくる固定資産税の納税通知書に記載されていますし、役所にて固定資産税評価証明を入手することで調べることもできます。

 例えば自宅のある地区の宅地の欄に「1.2」と記されていれば、固定資産税評価額を1.2倍したものが、相続税・贈与税計算上の土地の価格ということになります。

 自宅の土地の固定資産税評価額が2000万円、倍率が1.2倍であれば、土地の価格は2000万円×1.2=2400万円と計算されます。 
 もし、評価倍率表の該当箇所に数値ではなく「路線」と記されていれば、その土地には路線価がついているため、路線価図から物件の場所を探し路線価を用いて価格を計算します。

 また、路線価が付されているエリアにある土地でも、その土地が面している道路には路線価がついていない、というケースもあります。
 この場合、相続税や贈与税を計算するときには、税務署から「特定路線価」を付けてもらったりするのですが、土地価格を試算するだけであれば、付近の路線価を用いて概算額を出しておけばよいと思います。

 相続税の負担を過度に心配するあまり、必要のない相続税対策に走り、結果として逆効果となってしまうケースが非常に多いです。

 なんとなく不安に思うのではなく、まずはご自身や親御さんが持つ土地の価格を路線価を使って計算し、それと預貯金や株式、投資信託などの金融資産その他と合算して財産の概算額を出してみましょう。その結果、相続税対策が本当に必要なのかどうか、よく考えたうえで行動するようにしてください。