6日発表の6月の米雇用統計は、事前予想によると、失業率は3.8%、NFP(非農業部門雇用者数)は+19.5万人で、平均労働賃金は前月比+0.3%となっています。(表-1)
表-1 過去3ヵ月の推移と今回の予想値
失業率の改善スピードは予想以上
相変わらず強気の予想が出ていますが、FRB(米連邦準備制度理事会)にすると、雇用市場は拡大していても労働賃金の上昇が伴わず、物価上昇にもつながっていないので、利上げは慎重に進めるしかないという判断でした。
ところが失業率を見ると、4.1%で6カ月間横ばい状態を続けていましたが、4月から再び低下を始め、今や3.8%まで下がっています。(表-2,3)
FRBは、失業率が3.6%まで下がるのは2019年末になると予想していました。現在の水準は想定の約1年先を走っていることになります。
利上げに対して慎重なFRBですが、失業率が予想をはるかに上回るペースで下がるなかで様子見を続けてしまい、「FRBの政策は緩和的すぎる」という批判も受けたくないのも事実。今の状況では、逆に利上げをしなければいけない状況に追い込まれているとも言えます。
12月利上げ確率がドル買い材料に
マーケットは9月までの利上げをほぼ織り込み、関心は、12月に今年4回目の利上げがあるかどうかに移っています。その判断は、パウエルFRB議長がFF(フェデラルファンド)金利を想定レンジの下限に近付けるだけでよしとするのか、それとも上限レンジまで引き上げたいと考えるかにかかっています。
そして12月の利上げ確率こそが、新たなドル買い材料になるといえます。そのカギを握るのが雇用統計であり、失業率がどこまで下がるかということになります。
発表直後のマーケットの反応は?
失業率はもちろん重要ですが、雇用統計の発表直後のマーケットは、雇用者数と平均労働賃金の事前予想と結果の違いで動くことが多いようです。
表-3は、雇用統計の結果を4つのパターンに分類して、それぞれについて予想されるマーケットの反応をまとめたものです。前回5月の雇用統計では、非農業部門雇用者数、平均労働賃金ともに予想を上回りました。これはパターン1にあたり、実際マーケットはドル買いとユーロ売りで反応しています。
雇用者が増え平均労働賃金も上昇するケースは、FRBの利上げを想起させて、以前は株価の下落と円高を引き起こしたケースもありました。しかし、すでに述べたように、マーケットは9月までの利上げをほぼ織り込んでいて、株価に対するネガティブな影響は少なくなっているようです。
表-4 米雇用統計後に予想されるマーケットの反応
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