今日のポイント
● 内外政治の不透明感とドル円の軟調が日経平均の重石。FOMCで米金融当局は物価動向にやや慎重な姿勢を示した。国内株は外部環境の改善を待つ展開が続く見込み。
● 世界の主要な化粧品銘柄で構成される「ビューティー指数」に注目。新興国の中間所得層拡大で、女性を中心としたビューティー需要は着実に成長していくと考えられる。
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政治的不透明感とドル円軟調が株価の重石
国内では、加計学園問題を巡る混迷で内閣支持率が下落。為替が円高気味に推移していることもあり、売買動向に影響が強い海外投資家は慎重姿勢を維持しています。米国でも、ロシアゲート疑惑でトランプ政権の政策運営に不安が強まっています。インフレ期待も低下しており、米金融政策の正常化プロセスに遅れもみられそうです。
為替市場ではユーロ高が進み、米長期金利の低下もあって米ドル指数が下落。図1でみる通り、米ドル指数の下落が、ドル円への圧力となっています。好業績のセクターや個別銘柄は別にして、政治的不透明感、米長期金利低下、ドル円の軟調は、当面日経平均の上値を抑える見込みです。一方、ドル安は米国のグローバル企業にとって業績面で追い風です。
今週もダウ平均、S&P500指数、ナスダック総合指数、ナスダック100指数はすべて最高値を更新。世界市場のなかで、7月も日本株が相対的な出遅れ感を鮮明にする展開となっています。
図1:米ドル指数とドル円相場(2013年以降)
「ビューティー指数」は輝きを取り戻すか
世界の主な化粧品(美容品)関連銘柄で構成される「ビューティー指数」(Beauty Total Return Index)に注目しています。同指数は、2007年にドイツで設立された指数提供会社ソラクティブ(Solactive AG)社が組成・公表しているものです。
同社は、S&PダウジョーンズやMSCIと差別化するため、特徴的な株価指数を提供しており、なかでもビューティー指数はその長期パフォーマンスの優位性が注目されてきました。同指数は、欧州、米国、日本、香港に本社を置く世界的な化粧品(美容品)関連銘柄11社で構成されています。フランスのクリスチャン・ディオール、ロレアル、米国のエスティーローダーなどの他、日本からは資生堂、花王、ライオンの3社が構成銘柄に選ばれています。
図2が示す通り、同指数の長期総収益(トータルリターン)は、日本株式(TOPIX)、米国株(S&P500指数)、世界株(MSCI世界株価指数)を大きくアウトパフォームしてきました。2008年秋のリーマンショック後には大幅な株価調整を余儀なくされたものの、女性を中心とする化粧品需要の着実な拡大を背景にした業績拡大を受け、2008年初来では一時は約2.8倍にまで上昇しました。
今年に入っては、6月以降のグロース株全般の株価調整でビューティー指数も下落。7月中旬以降は、徐々に値を固める動きを示しています。化粧品需要(ニーズ)は、景気循環から影響を受けにくいディフェンシブ性(安定成長的な特徴)があるとされており、早晩の株価の立ち直りが期待されます。
図2:ビューティー指数の相対推移(2008年初=100)
美しさを追求する個別銘柄群に注目する
上述したビューティー指数を構成している世界の化粧品会社11銘柄を図3に一覧しました。年初来の平均騰落率は+15.4%となっており、日本株式(TOPIX)の同+7.1%や世界株式の同+12.0%を上回っています。こうした銘柄群のうち複数に分散していく投資戦略は検討に値すると考えます。
なお、三菱UFJ国際投信は、新ファンド「ワールド・ビューティー・オープン」を7月30日に設定する予定です。同投信は、「美を追求し、美の追求に資すると考えられる製品やサービスを提供する企業は、今後の市場拡大の恩恵を享受することができる企業」とし、国内外のビューティー・ビジネス関連銘柄を調査。「人の美しさ」の向上に資する内外30~70銘柄に絞り込み分散投資するそうです。
化粧品、美容品、スキンケア商品は、先進国だけでなく新興国-特に中間所得層が拡大しているアジア地域で大きな需要拡大が期待されています。実際、日本化粧品工業連合会によると、特に2015年以降、香港、台湾、中国、シンガポール向けの化粧品輸出が急増加しています(財務省貿易統計)。ワールド・ビューティ・オープン(為替ヘッジあり/為替ヘッジなし)は、楽天証券でも8月4日より取り扱いを開始する予定です。
夏真っ盛りを迎え、紫外線対策やビューティーアイテム特集がメディアで組まれやすい季節で、市場でも関心が高まるかもしれません。ビューティー指数が輝きを取り戻すか否かと併せ、同ファンドのパフォーマンスにも注目していきたいと思います。
図3:ビューティー指数の構成銘柄(参考情報)
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