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『骨太の方針』は、「経済財政運営と改革の基本方針」の略称です。首相が座長を務める経済財政諮問会議でまとめられ、毎年の予算編成や税制改正、重要政策に反映されます。小泉純一郎政権下の2001年に、官僚主導ではなく、首相官邸が政治主導で予算をつくるために始められました。民主党政権下にあった2010年~2012年を除き、毎年発表されています。今年は6月15日に閣議決定され、公表されました。
【ポイント1】少子高齢化の克服による持続的な成長の実現を目指す
財政を黒字転換させる時期は5年先延ばし
政府が6月15日の臨時閣議で決定した『骨太の方針』2018には、「少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現」という副題が添えられました。財政健全化の目標については、基礎的財政収支(※)黒字化の時期が5年先送りされ、2025年度に変更されました。
※基礎的財政収支(プライマリーバランス)は、国の歳入から国債発行収入を差し引いた金額と、歳出から国債費(国債の利払いと償還費等)を差し引いた金額の差額。国債の利払いと償還費を除いた一般歳出が、税収で賄われていれば、財政は健全といえます。
【ポイント2】鍵を握るのは潜在成長率の引き上げ
人材育成や、規制緩和等による生産性の向上を図る
少子高齢化が進むなかで持続的な経済成長を実現し、財政を再建するための方策として掲げられたのは、潜在成長率の引き上げ、消費税率の引き上げとそれに伴う需要変動の平準化、経済再生と両立する新たな財政健全化目標へのコミットメント、地方再生・活性化の推進です。
潜在成長率引き上げのための重点的な取り組みとしては、(1)人づくり革命の実現と拡大(幼児教育や高等教育の無償化等を通じた労働力の能力向上)、(2)規制・制度改革等による生産性革命の実現と拡大、(3)働き方改革の推進(長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現等)、(4)新たな外国人材の受け入れ等が挙げられました。
財政再建については、基礎的財政収支の黒字化の目標年である2025年度までの中間にあたる2021年度に、「基礎的財政赤字の対GDP比を2017年度比半減の1.5%程度に縮小」等の中間目標を設定し、進捗状況を検証することになりました。
【今後の展開】財政再建の目標達成には、さらに踏み込んだ歳出削減が必要
財政健全化を達成する時期の先送りは、ほぼ事前の想定通りです。財政再建よりも経済再生を優先するという、安倍政権の姿勢が改めて確認されたといえるでしょう。
『骨太の方針』2018で想定されているGDP成長率は名目+3%、実質+2%と、ここ数年の実績から見てやや高めです。財政再建の目標達成には、踏み込んだ歳出削減が必要となりそうです。
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