スマホ出荷低迷も機種アップグレードが市場牽引、有力部品サプライヤーの追い風に
中国ではスマートフォン出荷台数がここに来て低迷しているが、2018年の平均販売価格については「前年比13%高の2,428元(389米ドル)」との予測が示されており、機種アップグレードを背景とした売り上げ規模の拡大が続く可能性が高い。BOCIは上位4ベンダーが国内スマホ市場を分け合っている現状を指摘し、部品サプライヤーに関しても、大手を中心とした集約化が進むとの見方。スマホ部品の中ではこの先、大口径レンズ、光学ズーム、光学式手振れ補正、マルチビューリアカメラ、顔認証、3Dセンシングなどが焦点になるとみている。個別では幅広い分野で高い技術力を誇り、スマホレンズ、カメラモジュールの生産技術に長けた舜宇光学科技(02382)を最有力視。また、瑞声科技(02018)の株価の先行きに対しても強気見通しを示した。瑞声科技は従来主力としていた音響部品以外に光学製品に照準を合わせており、18年下期にはWLG(ウエハーレベルガラス)、ハイブリッドレンズなどの量産化が期待される状況にある。
米IDCによると、中国のスマホ出荷台数は18年1~3月に前年同期比21%減の9,100万台と、13年の調査開始以来、初めて1億の大台を割り込んだ。新製品の投入に伴い、6~7月には持ち直すとみられるものの、18年通年で前年実績を割り込む可能性があり、独GfKは通年予想を前年比4%減の4億4,900万台に設定している。ただ、その一方で、GfKが示した18年の予想販売総額は同7.1%増の1兆900億元であり、平均小売価格にすると同13%高の2,428元。これは先進諸国の多くを上回る数字となる。
実際、大手ベンダーが最近発売した新機種は中価格帯が中心で、一部はデュアル・リア(背面)カメラや顔認証などの最新機能を搭載している。4G普及率が78%に達する中、中国のデータ通信量は急拡大しており、4月には1人当たり平均(DOU)で前年同月比154%増。BOCIはビデオゲームや動画HDストリーミングといったコンテンツの高質化を指摘。機種アップグレード需要がスマホ市場を牽引するとみている。
一方、中国のスマホ市場では、華為技術(ファーウェイ)、OPPO、vivo、小米科技(シャオミ)による寡占化が急速に進行しており、4社の合計シェアは1~3月に73%と、前年同期の58%から大きく上向いた。BOCIはこの先さらに寡占化が進むと予想。機能・性能の進化を受け、高レベルのハプティック(触覚技術)モーターやレンズ部品の需要が高まるとし、技術力に優れた舜宇光学科技や瑞声科技への恩恵を見込む。
BOCIはこの2社の中でも、舜宇光学科技を選好している。アンドロイド端末向け部品の世界トップクラスのサプライヤーである同社が、スマホ機能のアップグレードを背景に、新たな部品需要を取り込むとの見方。スマホ出荷台数の減速を理由に収益見通しを下方修正しながらも、目標株価を引き上げ、株価の先行きを強気見通しに設定している。
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