先週は、米国株高、円安、外国人買いも入り、25日移動平均線を突破

先週の予測

 前週末にイタリア政局も一服し、米国の5月雇用統計は予想を上回りました。そのため米国株式は大幅上昇し、先物主導で戻りを試す展開が想定されるとしました。ただし、その場合、25日移動平均線(2万2,500円水準)が目先の上値ポイントであり、基本は2万2,000~2万2,500円のレンジ内の戻りとしました。

結果

 米国株式の上昇が止まらずナスダックは3日連続の史上最高値更新、NYダウも2万5,000ドル回復しました。さらに日米金利差からの円安進行となり、日経平均株価は25日移動平均線を突破。8日(金)にはザラ場で2万2,879円まで上昇しました。

 6月4日(月)は、前週末の予想を上回る5月雇用統計を受けて、米国株高、円安となったことを好感。+193円の2万2,365円で寄り付き、+304円の2万2,475円で引けました。 
5日(火)は、前日のナスダックの史上最高値更新を受けてハイテク株が買われ、+63円の2万2,539円と2週間ぶりの高値水準となりました。

 6日(水)は、手がかり材料に乏しく売り先行で始まり▲40円の2万2,498円まで下げましたが、売り一巡後はプラスに転じました。+86円の2万2,625円と3日続伸し、目先の上値ポイントとしていた25日移動平均線を上回って引けました。 

 7日(木)は、前日の米国市場では、米中貿易摩擦懸念が後退したことで、中国関連株が大幅に上昇。長期金利の上昇を受け金融株も上昇となりNYダウは+346ドルの2万5,146ドルと2万5,000ドル台を回復しました。これを好感して日経平均は+197円の2万2,823円と2万2,800円台を回復しました。

 週末の8日(金)は、前日の高値をぬいて+55円の2万2,879円をつける場面がありましたが、8~9日のG7や翌週は米朝首脳会談など重要イベントを控え持ち高調整の動きとなって▲128円の2万2,694円の安値引けとなりました。

 8日(金)の米国市場は、G7が開催されるなか、通商問題で米国の孤立が懸念されましたが、投資家の関心は翌週からのFOMC(米連邦公開市場委員会)などの金融政策に移っており、3指標そろって上昇して終了しました。NYダウは+75ドルの2万5,316ドルと3日続伸。シカゴの日経先物は為替が109円台後半の円高へふれているため+10円の2万2,630円で引けました。

 

今週は注目材料多く、2万2,500~2万3,000円の中でのもみあい

 今週は、国際会議、金融政策に関する注目材料が多く、基本的には方向感のない展開が想定されます。その中で12日(火)の米朝首脳会談で北朝鮮の非核化の話しが前進すれば、北朝鮮リスクが大きく後退し、株価にとってはプラスとなります。

 一方で先週末のG7は、米国が孤立した形となっており、貿易戦争の懸念が高まったままです。また、今週は日米欧の金融政策の重要会合が集中しており、特に米国のFRB(米連邦準備制度理事会)の6月以降の金利引き上げがどうなるのか注目となります。早期の追加利上げ思惑がでてくると、ドルは買われますが株価は上値の重い展開となります。

 日経平均は、先週上値のフシだった25日移動平均線(6月11日2万2,603円)を上にぬけました。しかし週の終値では2万2,694円となり6月SQ値2万2,825円を下回って引けています。ここを早い段階に上回ってくれば5月21日の直近の戻り高値2万3,050円を試す動きとなります。チャートをみると2万2,000~2万3,000円のレンジ内で2万2,500~2万3,000円の中のもみあいとなりそうです。ただし、米国株高にサポートされて2万3,050円を上回って引けて、「ろく買」という追加の買い法則がでると一段高が期待できます。

(指標)日経平均

先週の結果

 米国株式の上昇が続き、円安も進行したことで週始めから7日(水)まで4日連続の上昇となりました。6月5日(火)は2万2,500円台を回復し、6月6日(水)は2万2,625円となって25日移動平均線を突破。6月7日(木)は+197円の2万2,823円と2万2,800円台を回復しました。しかし、週末の6月8日(金)はG7やその他の重要イベントを控え持ち高調整となり、2万2,879円の戻り高値をつけたあと反落。▲128円の2万2,694円で引けました。

今週の予測

 先週に25日移動平均線を上回っており、先週末の6月SQ値2万2,825円を終値でぬけ、さらに5月21日の2万3,050円を上回って「ろく買」が出現するともう一段高となります。そうなければ当面は2万2,000~2万3,000円内のボックス相場となる可能性があります。

 

(指標)NYダウ

先週の結果

 5月の雇用統計や他の経済指標の予想を上回る結果を受け、ナスダックが3日続伸の最高値更新。つれてNYダウも大きく上昇し2万5,000ドル台を回復、6月7日には2万5,326ドルの戻り高値をつけました。

 G7の初日(8日)は米輸入制限への批判が噴出し、トランプ大統領は孤立を深めました。今後、各国が対抗措置をとる懸念が高まり、貿易摩擦が生じてくる懸念もでてきました。12日の米朝首脳会談やFOMCも控えており、様子見から方向感の定まらない展開となりそうです。FOMCで6月利上げが確実と言われており、その後のパウエル議長の発言で年内の利上げペースが高まるようだと株価にはマイナスとなります。

 

 

(指標)ドル/円

先週の結果

 週前半は5月の雇用統計に続き、他の経済指標も予想を上回ったことで金利先高感からドル買い優性となり、6月6日(水)は1ドル=110.27円をつけました。その後はG7で米国の通商政策をめぐる批判が予想されドルは109.34円まで売られ109.47円で引けました。

今週の予測

 米国の貿易問題がくすぶる中で、12日に米朝首脳会談が行われます、朝鮮半島の非核化への進展が期待された場合は地政学的リスク後退でドル買い・円売り優勢となることが考えられます。また、FOMCで6月の利上げは織り込み済みと見られますが、FOMCの経済予測で金利見通しが上方修正されると、日米金利差拡大からドルが買われることになります。ただし、貿易摩擦懸念が高まれば世界経済の減速につながるため、ドル売り圧力ができますのでドルの上値は限定的といえます。今週は109~111円の想定。109~111円のレンジを想定。