5月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ

 日本株は、日本株自体が「世界景気の敏感株」と言われますよね。欧米の経済指標、金利、そして株価に振り回されます。5月も、トランプ米大統領の言動に振り回されました。イラン核合意からの離脱による中東情勢リスク、自動車の輸入関税引き上げ検討による貿易摩擦懸念、米朝首脳会談の見送り表明(←結局、開催されることになりましたが)による地政学リスク…。さらには、イタリア国内の政局リスクもネガティブ材料としてカウントされました。

 世界景気の敏感株である日経平均株価は、5月の月間騰落率が▲1.18%、TOPIXも▲1.67%でした。その中にあって、ほぼ国内完結型のビジネスを手掛ける企業群で構成されている東証マザーズ指数は▲0.59%、日経ジャスダック平均についても▲0.18%と、東証1部の指数よりマシだった1カ月でした。

 ただ、外部環境悪化の影響が軽微だっただけで、あいかわらずイマイチな新興株市場。マザーズが見せ場を作ったのは、17日~22日に指数が4連騰(4営業日で4.7%上昇)した場面だけでした。この17日というのは、新興株には鬼門となる決算発表を全て通過したタイミング。決算発表後に売られる新興株が続出しただけに、「決算発表がなくなったこと=買い材料」という、毎年恒例の“悪材料出尽くし”現象は見られました。


5月の売買代金ランキング(人気株)

 5月のマザーズ市場の月間売買代金は1兆8,175億円と、4月の1兆7,088億円と比べて6%増加。ただ、営業日数が4月より1日多かったこともあって、1日当たりで見ると5月平均は865億円(4月平均は854億円)と低水準でした。

 売買が盛り上がらない理由としては、5月も引き続き、個人マネーの主役がマネックスG株だったこと。マネックスGの月間出来高こそ、前月比では35%減の18億1,543万株でした。ただ、それでも18億株といえば、売買代金ベースに計算し直すと約1.2兆円相当。たった1銘柄で、マザーズ全体の月間売買代金の約7割もの商いをこなしていたわけです。

 そんな環境にあって、売買代金25日移動平均で50億円を超えた銘柄は、直近IPOのHEROZだけ。これは損切りと逆張り買いのぶつかり合いによるものと思われます。突発的な材料で数日間盛り上がる銘柄は出ましたが、物色の柱と呼べるような銘柄はありませんでした。

市場 コード 銘柄名 5月末
終値
時価
総額

売買代金
25日移動
平均値
(億2円)

月間
騰落率
(%)

東証マザーズ 4382 HEROZ 22,470 755 55.3 -15.5
東証マザーズ 3652 DMP 7,450 209 36.5 4.9
東証マザーズ 2121 ミクシィ 3,410 2,668 36.1 -5.5
ジャスダック 4849 エンJPN 5,370 2,670 34.6 4.7
東証マザーズ 3900 クラウドワクス 1,709 238 34.2 35.4
東証マザーズ 6172 メタップス 3,350 451 34.2 37.3
東証マザーズ 2497 UNITED 3,640 862 32.2 -21.5
東証マザーズ 7172 JIA 5,510 1,504 28.2 35.0
東証マザーズ 3906 ALBERT 5,540 152 27.9 162.3
ジャスダック 6324 ハーモニック 5,200 5,008 24.5 -1.0
東証マザーズ 4565 そーせい 7,290 1,389 23.1 -3.8
ジャスダック 4764 SAMURAI 434 130 19.5 45.6
東証マザーズ 6166 中村超硬 2,710 135 18.0 -49.9
東証マザーズ 4594 ブライトパス 348 146 17.8 -51.3
東証マザーズ 6177 AppBank 857 58 17.8 84.3
ジャスダック 2330 フォーサイド 323 100 17.6 24.7
東証マザーズ 3773 AMI 2,541 405 16.7 34.0
ジャスダック 2146 UT GROUP 3,920 1,594 15.5 29.6
ジャスダック 6890 フェローテック 2,207 819 15.2 -10.1
ジャスダック 3323 レカム 285 190 14.4 8.8


売買代金ランキング(5銘柄)

1 DMP(3652・東証マザーズ)

 4月下旬に、AIプロフェッサー「ZIADV500」の提供を始めると発表。ディープラーニングの推論処理に特化したAIプロセッサーの新製品で、AIの開発現場(例えば大学や企業の研究室)で使われるとの期待から買われました。株価は21日、2月2日以来となる9,000円台に乗せましたが、その後は一転、この新製品を発表する手前水準まで株価は調整しています。
 ちなみに、25日に2018年定時株主総会の招集通知を開示。この通知の中で、前期末(18年3月末)時点で、有名な個人投資家が発行済み株数の4.66%を保有していたことが判明しました。前期の下期(昨年10月~今年3月)に取得していたと推測されるため、昨年末にかけた同社株の大相場は、この個人投資家1名の爆買いが効いていたといえそうです。

2 ミクシィ(2121・東証マザーズ)

 月末にかけて崩れていった5月のミクシィ株。MSCI標準指数(※世界の機関投資家の多くがベンチマークとして利用するメジャーな株価指数)の指数構成銘柄から、ミクシィが外されたことが理由でした。
 入れ替え発表が14日で、実際の入れ替え(リバランス)は31日の大引け。こういった指数入れ替えは需給イベントになります。除外される銘柄の場合、31日の大引けで売り需要が発生することが確実です。このタイミングを目掛けて、発表翌日15日から「ミクシィの空売り」をする投資家が出てきます(こうした投資手法をイベントドリブンと呼びます)。
 そして、事前に作った空売りのポジションを、実際の売り需要が発生する31日の大引けで反対売買(買戻し)します。このトレードが、5月の売買代金で3位にランクインした唯一の理由です(純粋な売り買いではありません)。31日のミクシィの出来高は492万株と、2016年2月以来の超大商いになりました。

3 エン・ジャパン(4849・ジャスダック)

 11日に発表した決算翌日に急伸。今期の業績予想はアナリスト予想を下回りましたが、20年3月期を最終年度とする中期経営計画の数値目標を上方修正しました。ただ、出来高が膨らんだのは、業績ではなく22日に発表した「市場変更」のタイミング。
 22日に、6月11日付で本則市場に市場変更すると発表。これ自体は株価にポジティブ材料なのですが、最大718万4300株の売出の実施もセットで発表。発行済み株数の14%に相当する株が流通しますので、需給が悪化することを嫌う向きも多かったようです。
 ジャスダックの時価総額5位銘柄が、新興株から卒業します。市場変更先は「東証1部」に決まりました。TOPIXには7月末(実際の買い需要発生は7月30日大引け)に組入れられるため、今後はリバランスの買いを見越したプレポジションの買い(イベントドリブン)も集まりそうです。

4 クラウドワークス(3900・東証マザーズ)

 一発の強材料で、株価も大変貌しました。強材料は、三菱UFJフィナンシャル・グループという超メガ企業との資本業務提携の発表。個人事業主(フリーランス)の報酬を電子財布(ウォレット)で管理・決済するサービスを展開するため、三菱UFJFGと新会社(会社名はクラウドマネー)を設立するとのことです。
 キャッシュレス経済の進展に向け、投資に動く三菱UFJFGに一枚噛むことが、前期まで赤字続きの同社側にメリット大と見られたようで…。株価は、2014年12月のIPO直後に付けていた上場来高値を“苦節3年5カ月”で更新。株主全員が含み益状態となり、今のところは需給環境も良好です(あとは今後の業績次第)。

5 UNITED(2497・東証マザーズ)

 ついにフリマアプリ最大手メルカリのIPO(マザーズに6月19日上場予定)が決定!メルカリIPO承認翌日の15日、手持ちのメルカリ株450万株を売却するUNITED株は…暴落(14.9%安)でした。典型的な“知ったら仕舞い”、出尽くし売りですね。
 ただ、この初期反応は、メルカリIPO決定を目掛けて買っていた投資家による短期プレー。事前の報道では「時価総額2,000億円規模」といわれていたメルカリですが、実際はその倍の4,000億円規模で上場します。一部売却後も、同社は残り1,050万株も保有する大株主。メルカリ株が上場後にさらに値を切り上げられれば、含み資産の増大が買い理由にもなり得ます。
 とりあえずは、次の鬼門はメルカリIPO当日。ここも出尽くし売りになる可能性は高いですが、その先もメルカリの株価推移との相関は強そうです。なお、6月1日時点の信用買い残は160億円で、金額ベースで東証マザーズ銘柄では最大。個人投資家の懐事情にとって、現状では最も影響度が大きいマザーズ銘柄になっています。

5月の株価値上がり率ランキング

 5月は値上がり率の上位銘柄の大半(アルファポリス、メドピアなど一部を除く)が、個別の材料で爆騰した面々です。4月との違いでいえば、4月に1銘柄も無かった月間で2倍強の上昇率を記録した株が3銘柄も出たこと。やまねメディカル、ALBERT、岡藤HDのいずれも、材料が出た時点の時価総額が100億円未満の小型新興株という共通点がありました。強材料にすかさず飛び付く個人投資家の資金力を、受け止めるには受け皿が小さ過ぎた(流動性が低すぎた)という感じです。
普段との違いでいえば、毎月恒例化していた「値上がり率トップ20銘柄の7割方がジャスダック銘柄」ではなかったのが5月。トップ20のうち半分(10銘柄)がマザーズ銘柄でした。なお、この20銘柄の中で、4月もトップ20に入っていた銘柄は「メガネスーパー」を運営するビジョナリーだけ。この銘柄はノーマークでした…。

市場 コード 銘柄名 月間
騰落率
(%)
5月末終値

前月末
終値

時価総額
(億円)

ジャスダック 2144 やまねM 222.3 767 238 87
東証マザーズ 3906 ALBERT 162.3 5,540 2,112 152
ジャスダック 8705 岡藤HD 136.0 387 164 39
東証マザーズ 9467 アルファポリス 85.0 4,710 2,546 228
東証マザーズ 6177 AppBank 84.3 857 465 58
ジャスダック 2436 共同PR 65.0 3,680 2,230 50
ジャスダック 2437 シンワワイズ 60.1 498 311 36
東証マザーズ 6095 メドピア 56.5 2,125 1,358 195
ジャスダック 2307 クロスキャット 55.7 1,551 996 143
東証マザーズ 9450 ファイバーGT 55.7 3,440 2,210 164
東証マザーズ 4381 ビープラッツ 53.2 8,700 5,680 98
ジャスダック 3042 セキュアヴェイ 52.8 1,235 808 40
ジャスダック 8747 豊商事 52.3 594 390 53
東証マザーズ 6574 コンヴァノ 51.1 2,109 1,396 47
ジャスダック 9909 愛光電 49.2 2,614 1,752 23
東証マザーズ 5704 JMC 49.2 1,799 1,206 47
ジャスダック 9263 ビジョナリー 47.3 134 91 213
東証マザーズ 6556 ウェルビー 46.7 1,630 1,111 433
ジャスダック 4764 SAMURAI 45.6 434 298 130
東証マザーズ 3300 AMBITION 43.8 1,760 1,224 120

 

値上がり率ランキング(5銘柄)

1 やまねメディカル(2144・ジャスダック)

驚愕の月間上昇率222%を記録したのは、ほとんど売買されてこなかった(1日で約定ゼロの日も今年1回あった)同社株でした。
布石としては、5月に仮想通貨関連株(少し仮想通貨を齧っている程度の銘柄も含め)が物色されていたことがありました。仮想通貨関連株に火が付いているなか、24日に同社が定款の一部変更という油を注入。事業目的の中に、仮想通貨の企画、開発や仮想通貨に関するシステム提供、さらには仮想通貨の交換業といった項目を突然追加しました。
通所介護サービスを手掛ける同社の仮想通貨ビジネスは意外だったこと、流動性が極めて低かったこと、発表時点の時価総額が約40億円と超小型株だったこと―などが重なり…発表翌日から4日連続のストップ高を交えて大化けしました。

2 ALBERT(3906・東証マザーズ)

 資本業務提携の発表が手掛かりですが、その相手が「トヨタ自動車」だったことがメガトン級のサプライズに。しかも、トヨタの自動運転におけるアルゴリズム・AI開発などで業務を受託するという、期待せずにはいられない話題。株価は15日の発表翌日から3日連続ストップ高で、しかも全株一致せず。2015年の上場後は悪い話のほうが多く、前期まで毎期赤字だっただけに、驚き度合いが他の銘柄の比にならなかった側面もありそうです。

3 アルファポリス(9467・東証マザーズ)

 5月の大幅上昇は、業績を評価した買いが中心だろうと推測できる数少ない銘柄。11日に発表した決算では、前18年3月期の営業利益が前期比4.4倍の7.57億円でした。会社予想の6.5億円を上振れたうえ、今19年3月期予想も同58%増の12億円と強いガイダンス。自社の小説・漫画サイト「アルファポリス」で、漫画やライトノベルのヒット作を続出させ、作品を書籍化して書籍もヒットする――この好循環が作られ、『居酒屋ぼったくり』などドラマ化される人気作まで登場しています。
5月の上昇過程で信用買い残は増加しましたが、それでも11万株台と発行済み株数に対してわずか2%強。買い手の中心は、中小型ファンドなど機関投資家でしょう。大幅増益という裏付けがあり、株価が大きく上昇しても、まだ予想PERで30倍未満。中小型グロース株でいえば割高とはいえません。なお、6月30日を基準日として2分割が実施されます。

4 AppBank(6177・ジャスダック)

 多くの個人投資家の監視対象から外れていたであろう銘柄ですが、5月に再ブレイク。しばらく目が離せない銘柄になりました。きっかけとなった強材料は、ポーカーアプリ『POKER×POKER』のリリース。1日にリリースと事前登録の受け付けを発表、翌2日から急騰(厳密には少し前から上昇)しました。
 対戦型のポーカーゲームで、ポーカーの実力がプロ級のアーティストGACKT氏とも1対1で戦えると。本格ポーカーゲームの人気化に期待した買いが集まっています。ゲームの配信予定は“2018年6月”。ここからの株価の焦点は、配信後のダウンロード数、そしてセールスランキングにおける課金状況へ。

5 共同PR(2436・ジャスダック)

 13日に発表した第1四半期決算がビッグサプライズに。第1四半期の営業利益は、前年同期比3.8倍の1.13億円でした。通期予想3.0億円に対する進ちょく率は37%、上期予想0.95億円は早くも超過。期初計画は据え置かれましたが、上方修正を確実視した先回り買いが殺到しました。
 サプライズ決算を織り込んだあと、月末に再浮上。きっかけは6月末の株主を対象とした3分割の発表でした。この買い材料第2弾をきっかけに、出来高急増で付けた2月高値3,415円のブレイクに成功。全員含み益状態で、需給環境は良好といえます。

6月に注目したい新興株の動き

 本来、6月の新興株市場は地合いが良いことが多いです。前月の本コラムで紹介したように、マザーズ指数の算出開始後、過去14年の6月の勝敗は「9勝5敗」です。月間騰落率の平均も+2.9%と、5月の▲2.8%よりはるかに良好。季節性でいえば、5月より6月のほうが環境はいい言えます。

 なぜ6月が良いのか?それは、サラリーマンと同じように、投資家にとっても”ボーナス月“だからです。というのも、日本企業のほとんどが3月決算企業ですが、その3月決算企業の期末配当は大半が6月に支払われるからです。

 具体的に金額を紹介します。東証1部の3月決算企業でいえば、1365社が6月に期末配当を振り込みます。その総額は「5兆7,215億円」!東証1部銘柄以外も含めると約6兆円規模になります。手元に入った配当金は、個人投資家であれば外食や買い物など好きに使えますよね。ただ、日本株型の投資信託を運用している機関投資家は、受け取った配当金を再投資に回します。運用しているファンドのポートフォリオ組み入れ銘柄を買い増すといった資金になるということです。

 この確実に発生する買いの需給要因が、6月の新興株市場のパフォーマンスを良くするものと考えられます。本コラムでは、売買代金や値上がり率で目立った個別株を紹介していますが、その中で「機関投資家の買いが入っていると推測される」というような記述をしているものをチェックしてみてください。信用買いで上昇した銘柄ではない新興株は、チャートと信用買い残の推移を見比べれば、ご自身で探すこともできます。

 ただ、ここまで読んでくださった方からは「今年の6月はアカンじゃないか!」とご意見もいただきそうです。今年は6月に入って、6日までマザーズ指数は4日続落。一時節目の1,100ポイントも割り込みました。これ、なぜか? 

 簡単にいえば“19日に上場するメルカリのIPO規模が、想像していたより大き過ぎたから”。上場が承認される直前まで、「IPO時の時価総額で約2,000億円」と報じられていました。これが、上場が承認された段階では想定売出価格「2,200円~2,700円」となり、上限の2,700円ベースで「最大3,654億円」にボリュームアップ。さらに…31日に決まった仮条件価格は「2,700円~30,00円」と、さらにボリュームアップ。上限の3,000円ベースで「最大4,060億円」と、最初言われていた話の2倍規模になりました。

 時価総額4,000億円超となると、現時点のマザーズの時価総額トップであるミクシィ(約2,500億円)を抜き、ダントツの最大銘柄になります。そんなモンスターが新興株市場にやってくることは、市場活性化につながるためウェルカム!なのですが、上場前はその巨大IPOの存在が、市場全体にネガティブな影響を及ぼします。

 というのが、こうしたIPOやPO(公募・売出のこと)は募集モノといって、上場前に欲しい投資家の需要を募集します。メルカリのIPOでいえばブックビルディング期間(募集期間)が「6月4日~8日」ですが、ブックビルディングに参加するためには、口座内に買付分に相当する資金を入金しておかないといけない証券会社もあります。そうしたメルカリのIPO株用の資金が、口座内で拘束されて市場に出てこなくなるという影響が、需給面でマイナスになります。

 今回のメルカリの公開規模(公開価格×公開株数)は最大1,306億円ですので、そのマイナス影響がマザーズ株としては過去最大級になってしまいました。また、同じ募集モノでいえば、札証アンビシャスに上場するRIZAPグループ株のPOとも募集期間が一部重なりました。このRIZAPのPO株も資金吸収額が約370億円と大きく、メルカリとRIZAPのダブルの影響が、マザーズ6月逆噴射スタートの要因といえます。

 ただ、メルカリIPOについては、「6月11日」に公開価格が決定します。この段階で、メルカリIPO株の当選・落選が確定します。欲しい株数と手に入る株数の差は大きいと見られ、準備していたIPO株用資金が不要になります。そのため、公開価格が決まった翌日「6月12日」から、その分の資金は市場に戻ってくるはず。

 さらには、上場日の「6月19日」以降は、IPO株の市場売却が可能になりますよね。メルカリの初値が公開価格を上回るなら、メルカリに向かった1,300億円規模の資金が膨らみます。利益確定した資金が、別の銘柄に再投資される形で回転し始めれば、上場前のネガティブ影響が大きい分、ポジティブな影響も大きくなります。

 そうした意味で、今年に限れば、6月相場はメルカリの上場後の値動き(セカンダリー)に委ねられる部分が大きくなります。メルカリが順風なら、前述の確実に発生する配当の再投資と相まって、今の不穏な空気が嘘のような新興株好地合いが見られるかもしれません。