都市ガス供給価格の引き上げが追い風、利益見通し増額修正

現地コード 銘柄名
00857

中国石油天然気

(ペトロチャイナ)

株価 情報種類
 6.05HKD
(5/28現在)
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 ペトロチャイナは中国の天然ガス供給の約7割を担う圧倒的な存在であり、中国当局がこのほど発表した住宅向けの都市ガス・ゲート価格の引き上げは同社に最大の恩恵をもたらす見通しだ(ゲート価格とは長距離ガス輸送ラインの出口価格。川下の都市ガス事業者にとっては仕入れ価格を意味する)。BOCIは◇ペトロチャイナのガス販売全体に占める住宅の割合を20%、◇住宅向けガス価格の値上げ幅を1立方メートル当たり0.35元(増値税込み、2018年6月10日付で実施)と想定した上で、18~20年の予想純利益を12~37%増額修正した。また、1年後の19年6月以降は、売買双方の協議を経て、ゲート価格基準値を上回る契約価格を設定することが可能となる運び。BOCIはこのタイミングで同社株価の一段の上値が見込めるとして、株価の先行きに対するこれまでの中立見通しを強気に引き上げている。

 都市ガス・ゲート価格の引き上げは、ペトロチャイナの天然ガスおよび同パイプライン部門にとって真正面からの追い風。これにより、天然ガス輸入業務の赤字縮小も期待できる状況となった。BOCIは同部門の18~20年の予想営業利益を46~143%の幅で大きく増額修正している。

 今回は天然ガス・パイプラインの輸送料金を据え置いた上で、住宅向けの都市ガス・ゲート価格を引き上げる形となったが、これは探査・生産部門における井戸元価格(油田・ガス田での受け渡し価格)の上昇にもつながる要因。同部門に関しても、18~20年の予想営業利益を6~18%増額修正した。

 また、19年6月には協議ベースで「基準値比でのゲート価格上乗せ」が可能となるが、BOCIは今回、新たな収益モデルにこの点を反映させておらず、この先一段の増額修正を行う可能性に言及している。

 BOCIは利益見通しの増額修正に伴い、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく1株当たりNAV(純資産価値)を8.28HKドルから8.55HKドルへ引き上げた。また、目標株価を設定する上でベースとなる対NAVのディスカウント率を、これまでの27.7%(16年初めに原油相場が底入れして以降の平均値)から14.5%へより強気に修正し、H株目標を上方修正した。同社A株に関してはAH価格差79%をあてはめ、同じく目標株価を引き上げている。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある同社の潜在リスク要因としては、◇急激な原油安、◇国内のガス需要の大幅減速を挙げている。