<今日のキーワード>
ベトナムは、2017年の経済成長率が+6.8%となるなど高い成長が続いています。この背景には、勤勉な国民性があり、かつ若くて相対的に安価な労働力が豊富なことから近年外国企業の進出が増加していることや、所得の増加に伴い購買力が高まっていることなどが挙げられます。足元では『ベトナム株式』が下落していますが、これはどのように読み解けば良いのでしょうか?
【ポイント1】高成長と市場開放から『ベトナム株式』は今春まで上昇傾向
4月上旬をピークに、足元まで下落に転じた
『ベトナム株式』は、近年の高い経済成長に加え、外国投資家の株式保有上限の撤廃や株価指数先物市場の整備など、株式投資に関する規制緩和を進めていることから、外国投資家からの資⾦流⼊が増加しており、今春まで上昇傾向となっていました。しかし足元では、4月上旬をピークに下落に転じています。
【ポイント2】株価はなぜ下落に転じたのか?
新課税案や信用残の解消が要因
4月上旬、ベトナム財務省は、自動車や不動産に対して新たな課税案を提出しました。これが、上昇が続いていた『ベトナム株式』において、利益確定売りの一つのきっかけになったと見られ、株価は下落に転じました。ただしその後、政府は新課税案の導入を見送っており、当面は増税の影響はないと考えられます。
一方、株式の需給面では、株価上昇局面で積み上がっていた信用取引の買い残が、ここ2~3週間で減少しています。足元の『ベトナム株式』の下落は、この信用買い残の解消も要因だったと見られます。
【今後の展開】経済成長や企業業績の拡大を背景に株価は回復へ
ベトナムVN指数の株価収益率(PER、株価÷1株当たり予想利益、12カ月先予想ベース)をみると、例えば過去4年の平均値は14倍台となっています。株価が直近のピークだった4月上旬にはPERは20倍台と、やや過熱感が見られました。その後、5月29日のPERは16.1倍と、4月以降の相場調整により、足元では落ち着いた水準に戻ってきました。また、1株当たり予想利益は今後も増加が見込まれています。このため、企業業績の伸びとともに、株価も企業業績に沿った価格形成が期待されます。弊社予想では、ベトナム経済は2018年~2019年にかけて7.2%程度の成長を見込んでおり、今後とも好調な内需を背景に景気拡大が続くと見られ、『ベトナム株式』も次第に回復していくことが期待されます。
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。