仮想通貨関連での消費者相談の推移

 消費者庁は4月、「仮想通貨に関連すると思われる消費生活相談の状況について」という、2014~2017年度にかけての消費者相談のデータをまとめたものを発表しました。この発表から、2017年の1年間に仮想通貨に触れる機会を持つ人々が急増したことが判明しました。加えて、インターネット環境があれば誰でも取引に参加できて場所の縛りがないため、全国各地からの取引への参入が増えていることもわかりました。

 まずは仮想通貨関連の相談件数の推移をみてみましょう。2014年度の相談件数は186件でしたが、2015年に440件、2016年が847件、2017年度には2,769件と、2017年に相談件数が急増しています。

 相談者の年齢層にも変化が見られています。2014年には全体の53.5%が70代以上で、70代以上の比率はそれ以降も2015年に38.2%、2016年に30.5%と全体に占める割合が高かったのですが、2017年には17.0%に減少しました。2017年にはその代わり、30~50代による相談数の伸びが著しい状態です。

 相談者の居住場所は、2014~2016年までは東京、神奈川、埼玉などの首都圏に加えて大阪などの大都市圏からの相談が多数を占めていましたが、2016年度と2017年度には愛知県、福岡県、北海道やその他の地域の割合も増え、広く日本全国へとシフトが始まっています。

 

仮想通貨市場の拡大

 仮想通貨の自主規制団体として発足した一般社団法人日本仮想通貨交換業協会は、同じく4月に、2014~2018年3月までの日本国内での仮想通貨取引についてまとめた報告書を公表しています(金融庁登録業者14社、みなし業者3社の集計データ)。

 取引の数字を見てみると、市場規模は年々増加し、2017年に急成長を見せていることがわかります。

 例えば、2014年は現物取引高が24億円、証拠金・信用・先物取引高が2億円だった市場規模は、2015年には現物取引高が607億円、証拠金・信用・先物取引高が270億円に、2016年には現物取引高が1兆5,369億円、証拠金・信用・先物取引高が1兆9,790億円に、2017年には現物取引高が12兆7,140億円、証拠金・信用・先物取引高が56兆4,325億にまで上昇・拡大しました。

 特に2017年はビットコイン価格の高騰により「投資」の面で仮想通貨が大きな注目を集め、市場規模も大きく成長したことがわかります。

 国内の仮想通貨取引所の顧客分布を見てみましょう。2018年3月時点の現物取引の中心層は20~40代までで、全体の約90%を占めています。内訳は20代が28.78%、30代が34.24%、40代が22.47%、50代が9.99%となっており、70代以上はわずか0.75%です。これが2018年3月時点の証拠金・信用・先物取引になると、30代が中心層となります。内訳は20代が17.68%、30代が34.14%、40代が28.42%、50代が13.98%です。

 特に現物取引は20~40代が中心層であり、若い世代の仮想通貨への関心の高さがうかがえます。そのためか、預かり資金は全体利用者の約95%が100万円未満で、そのうちの約77%が10万円未満となっています。取引所のハッキングリスク回避という側面もあると思いますが、若年層の参加が多いということで、口座開設は小口が中心となっています。

 

仮想通貨のけん引役は若者

 2014~2016年まではネガティブ面が先行し、一部の前衛的な投資家などの興味の対象でしかなかった仮想通貨ですが、2017年の急激な価格の上昇により一般の投資家も注目し始め、テレビやネットニュースで取り上げられる機会も増えたことで、一般の消費者にもその存在が認知されるようになりました。

 しかし、冒頭で触れたように、裾野が広がったことで消費者相談件数は増加傾向にあります。
 仮想通貨が決済手段や資産としての市民権を得た今、より安全な取引のための正しい知識の収集やリスクに対する備えが必要です。