3月決算企業の決算発表シーズンが終わりました。好決算の銘柄も数多くありましたが、中には好決算にもかかわらず株価が上がらないものも。一体ナゼなのでしょうか。

 

相変わらず理不尽な株価の動きだった決算発表シーズン

 今年も3月決算の本決算発表のシーズンが終わりました。毎年のことながら、決算発表の結果に株価が大きく反応したケースが目立ちました。

 来期の業績予想がよい銘柄の株価は大きく上昇し、逆に来期の業績予想がよくない銘柄の株価は大きく下落……こうした動きであれば納得もできます。

 しかし、来期の業績予想が大幅な増収増益であるにもかかわらず株価が大幅に値下がりする銘柄がある一方、来期が減益や横ばいの予想なのに株価が値上がりを続ける銘柄もありました。

 好業績予想なのに株価が大きく下落、業績がパッとしない予想なのに株価が大きく上昇……こうなってくると、株価の動きが理不尽すぎて、個人投資家として一体どうすればよいのかと困り果ててしまいます。

 

過去の決算の内容は株価にとって無関係

 決算発表について勘違いしやすい点が1つあります。特に初心者の方ですが、まず先にお話しておきます。

 3月決算企業の場合、今回の決算発表では原則として2018年3月期の決算の発表と、2019年3月期の業績の予想を同時に行いました。

 このとき、たとえ2018年3月期の決算が非常に素晴らしいものであっても、2019年3月期の業績予想がイマイチであれば、株価は上昇するどころか大きく下落することも多々あります。

 株価は将来を織り込みながら動くものです。過去の決算内容は株価には関係ありません。ですから、2018年3月期の決算内容がよいからと言って、2019年3月期の予想がパッとしない銘柄を買うという行為はあまりお勧めできません。

 3月決算銘柄に限らず、1年に1度の本決算の発表の際は、投資家の関心はすでに終わった当期の決算内容ではなく、来期の予想に移っています。他の投資家が、来期に注目しているにもかかわらず、自分だけ当期の決算内容をもとに投資判断しないよう、十分に気を付けましょう。

 

なぜ好決算の予想でも株価が上がらないのか?

 なぜ来期の予想が大幅に増収増益であり好決算の予想でも株価が上昇しないケースがあるのでしょうか?これにはいくつかの理由が考えられます。

(1)大幅な増収増益が特殊要因による来期だけの一時的なもので、それ以降はそれほど業績 が伸びないと考えられている

(2)増収増益であるという、会社側が発表した来期の予想どおりにはいかない(会社発表の業績予想は過大である)とプロ投資家が判断している

(3)増収増益の予想は確実性が高いものの、プロ投資家が従来予想していた水準よりも低いので失望売りが出ている

 しかしながら、いずれの理由も、なかなか見抜けないのが実情です。
 個人投資家目線から言えることは、「業績予想は良いのに、株価は下がっている」という事実のみであり、その理由まで分析することは困難です。

 

個人ができる実践的な対処法とは

 好決算予想の銘柄につき、つい個人投資家がやってしまいがちなのが、「好決算予想なのに株価が下がっている。これは割安だ」と喜んで買ってしまうことです。

 でもこれは、他の投資家(特にプロ投資家や外国人投資家)は割安だとは思っておらず、自分自身だけがそう思いこんでいるという独りよがりの行動である可能性も否定できません。

 なぜなら、プロ投資家や外国人投資家も好決算予想を評価しているのであれば、株価が下がるということは考えにくいからです。

 ただ、彼らも決算発表後すぐに買ってくるわけではありません。彼らなりのリサーチをした結果、好決算予想のとおり、あるいはそれ以上の業績が見込めると判断できた段階で買いを入れてくることもあります。

 その場合、決算発表直後は軟調であっても、彼らの買いにより株価が上昇し、上昇トレンドに転じるという動きになります。
 筆者であれば、上昇トレンドに転じた時点で、プロ投資家や外国人投資家の買いが入ったと予測できるので、そこで買うようにしています。

 自分自身がいくら「割安だ」と予想しても、プロ投資家や外国人投資家も同じように思わなければ株価の上昇は難しいのが現実です。

 個人投資家が取りうる対応としては、やはり株価のトレンドからプロ投資家や外国人投資家の行動を予測し、下降トレンドにある間は買わず、上昇トレンドに転じてから買う、という方法が実践的かつ実行可能な方法ではないかと思います。