今日は投資額356万円と103万円の「好配当利回りファンド」を日本株でつくる方法を解説します。米国で一時有名になった「ダウの犬戦略」を使います。

「ダウの犬戦略」とは

 米国で有名になった投資手法はきわめてシンプルです。

ダウの犬戦略の投資方法

(1)NYダウ採用銘柄(30銘柄)を配当利回りの高い順に並べ、上位10銘柄を選びます。その10銘柄に等金額投資します。

(2)1年後に、もう一度NYダウ採用の配当利回り上位10社をスクリーニングします。1年前に投資した銘柄で、上位10社から外れた銘柄を売却し、代わりに新規に上位10社に入った銘柄を買います。

(3)その後も1年ごとに、上記の方法でリバランス(銘柄入れ替え)を続けます。

 たったこれだけのシンプルな投資方法で、NYダウを上回るパフォーマンスを挙げられる割合が高かったため、「ダウの犬戦略」は有名になりました。

≫≫トウシルの最新記事はこちら

 

ダウの犬を日本株に輸入しよう

 このシンプルな方法は、日本株にも応用可能です。

 NYダウは米国に上場する時価総額の大きい銘柄30から構成されます。日本で言えば時価総額上位30社は「コア30」と言われる指数を構成する銘柄ですが、この中から配当利回りの高い10銘柄を選べば、「ダウの犬」と同様の戦略を取ることができます。5月15日時点でいえば、以下10銘柄がそれに該当します。

東証1部コア30採用銘柄のうち、配当利回り上位10社 

NO コード 銘柄名 業種 配当利回り 最低投資額(円)
1 7201 日産自動車 自動車 5.0% 113,350
2 2914 日本たばこ産業 食料品 4.9% 304,300
3 7751 キヤノン 電機 4.2% 378,200
4 9437 NTTドコモ 通信 3.9% 280,550
5 4502 武田薬品工業 医薬品 3.8% 475,700
6 8411 みずほFG 銀行 3.7% 20,150
7 8316 三井住友FG 銀行 3.7% 464,300
8 8058 三菱商事 商社 3.6% 319,600
9 8031 三井物産 商社 3.5% 197,600
10 9433 KDDI 通信 3.4% 295,300

出所:配当利回りは、1株当たり年間配当金(今期会社予想)を5月16日株価で割って算出。キヤノンのみ1株当たり年間配当金は楽天証券予想

 

実際にポートフォリオをつくる

 それでは上記の10銘柄を使って、実際にポートフォリオを組んでみましょう。

 完全に10銘柄に同額を投資することはできないため、なるべく等金額になるようにつくったのが以下のポートフォリオです。全体の金額は約356万円です。このポートフォリオの平均配当利回りは4.0%です。

東証1部コア30銘柄からつくった「ダウの犬」ポートフォリオ(平均配当利回り4.0%)

NO コード 銘柄名 株価 投資株数 投資金額 投資比率
1 7201 日産自動車 1,133.5 300 340,050 9.6%
2 2914 日本たばこ産業 3,043.0 100 304,300 8.6%
3 7751 キヤノン 3,782.0 100 378,200 10.6%
4 9437 NTTドコモ 2,805.5 100 280,550 7.9%
5 4502 武田薬品工業 4,757.0 100 475,700 13.4%
6 8411 みずほFG 201.5 1,500 302,250 8.5%
7 8316 三井住友FG 4,643.0 100 464,300 13.1%
8 8058 三菱商事 3,196.0 100 319,600 9.0%
9 8031 三井物産 1,976.0 200 395,200 11.1%
10 9433 KDDI 2,953.0 100 295,300 8.3%
        合計 3,555,450 100.0%

注:楽天証券経済研究所が作成。株価は5月16日

 次に、非課税で投資できるNISA(少額投資非課税制度:年間の投資利益の非課税枠は120万円)で投資できるように、投資金額を120万円以下に抑えてつくったのが、以下のポートフォリオです。このポートフォリオの平均配当利回りは4.1%です。

ダウの犬ポートフォリオから、103万円で買えるように銘柄を絞ったポートフォリオ(平均配当利回り4.1%)

NO コード 銘柄名 株価 投資株数 投資金額 投資比率
1 7201 日産自動車 1,133.5 100 113,350 11.0%
2 2914 日本たばこ産業 3,043.0 100 304,300 29.5%
3 8411 みずほFG 201.5 600 120,900 11.7%
4 8031 三井物産 1,976.0 100 197,600 19.2%
5 9433 KDDI 2,953.0 100 295,300 28.6%
        合計 1,031,450 100.0%

  注:楽天証券経済研究所が作成。株価は5月16日

 上記はあくまでも一つの例にすぎません。投資額や期間を考えれば、他にもさまざまな投資の組み合わせが可能です。

 投資信託で「好配当利回りファンド」を選んで買うのもいいですが、まとまった資金があるなら、こんなふうに自ら「手作りファンド」をつくるように、個別銘柄を買うのも悪くないと思います。

 投資信託を保有すると信託報酬(ファンドから差し引かれる管理手数料)がかかりますが、自分で個別銘柄を保有すれば、信託報酬はかかりません(売買手数料は必要です)。長期(5~10年)で資産形成を考えるならば、こんなポートフォリオで投資して、長期保有するのもいいと思います。

▼著者おすすめのバックナンバー

5月10日:日本株から「もしバフェ銘柄」を探す

4月18日:好配当利回りの参考銘柄 「初心者はまず割安株から」と考える理由

3月29日:「10万円以下」で買える、好配当利利回り株のえらび方

▼他の新着オススメ連載

今日のマーケット・キーワード:『株式価値向上』の取り組みが進む日本企業