風力銘柄の株価急伸で増資観測高まる、華能新能源と龍源電力を有力視

 香港株式市場では過去1カ月にわたって風力発電銘柄が大幅に値上がりし、現在株価はすでに純資産価値を上回る水準に達した。こうした中、風力各社が近く増資に踏み切るかが焦点となっているが、BOCIは過去の事例を基に、新株(H株)増資による各社への影響を分析。華能新能源(00958)と龍源電力(00916)の増資による株主へのマイナス影響はなく、増資観測という不透明感の払拭がプラスに働くとした。一方、中国大唐集団新能源(01798)は、通常の増資であればEPS希薄化がそのままマイナス影響として残るとの見方。永久債発行を選択した場合、2019~20年の利益が7~8%目減りすると試算した。3社のうち、華能新能源と龍源電力の株価の先行きに対して強気見通しを維持する半面、中国大唐集団新能源に関しては中立見通しを継続している。

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 龍源電力、華能新能源は12年以来、第三者割当を各1回、3回実施し、2社合計で84億HKドルを調達したが、この4回のうち翌営業日に株価が下落したのは3回で、平均値下がり率は2.9%。増資実施後1カ月間では平均7.1%値上がりした。BOCIはこうしたデータから、市場はEPS希薄化をすばやく消化し、風力発電銘柄の高収益性に目を向けたと指摘している。例外の1回に関しては1カ月後の株価が増資前を下回ったが、この際は「グリーン証書」(GC)を取り巻く市場の懸念が影響したという。

 一方、龍源電力と中国大唐集団新能源は12年以降、永久債をそれぞれ3回、1回発行し、計95億元を調達した。BOCIは永久債に関する相対的な規定の緩さから、両社が再び永久債発行を選択する可能性があるとみている。

 風力銘柄が実際に増資を行った場合、負債比率が低い華能新能源と龍源電力は正味調達額の大半を新規プロジェクトに振り向けることが可能。新規設備の上乗せによる正味現在価値(NPV)の上昇が、EPS希薄化を一部相殺することが期待できる。また、増資に伴う希薄化懸念の払拭も、投資家の取り込みにおいてプラスとなる可能性が高い。

 ただ、中国大唐集団新能源に関しては仮にH株増資を実施しても他2社とは異なり、調達資金の多くを債務返済に当てる見込み。株主が価値の上昇という恩恵を受けられずに終わる公算が大きいという。また、BOCIによれば、同社の現在株価は割当価格の下限規定を15%ほど下回っており、現状では永久債を選択する可能性が高い。この場合は利払い費用の増大により、19~20年の利益が7~8%目減りする可能性がある。

 BOCIは華能新能源と龍源電力のバランスシートを高く評価し、18年通年にわたって同業銘柄をアウトパフォームすると予想。一方、長期的には、政策的な枠組みの安定化を理由に、主要銘柄の再評価を見込む。トップピック銘柄は引き続き華能新能源。ROE(15%)が最高レベルにあることや財務の強さ、電力需要の中心地域における存在感を理由としている。