先週は、週半ばまでは2万2,500円水準を上値にもみあったが週末は上放れ

先週の予測

 11月(金)に、2018年3月期決算発表のピークを迎えるため、それまでは機関投資家は動きにくく、2万2,500円水準を上値に方向感のない展開を想定しました。

結果

 10日(木)までは想定通りの動きでしたが、NYダウの上昇が止まらず、日経平均株価は11日(金)のSQ(オプション清算日)をきっかけに上放れ。+261円の2万2,758円と3カ月ぶりの高値水準となりました。

 ゴールデンウイーク明けの7日(月)は、前週末の米国株高を受けて小高く始まるものの、ドル安・円高が重しとなり、一時▲121円の2万2,350円まで下がりました。しかし、後場には円高一服と日銀のETF(上場投資信託)買い期待を支えに下げ幅を縮小。▲5円の2万2,467円となりました。

 8日(火)は、円高を受けて売り先行で始まるものの、前日の3指標そろっての米国株高がサポートし、+41円の2万2,508円と3日ぶりに反発しました。 9日(水)は、前日の米国市場は米国のイランの核合意からの離脱表明を受けてNYダウは一時▲158ドルまで下げ終値では+2ドルの2万4,360ドルに。日経平均は中東リスクへの警戒感から一時▲144円まで下落し、終値は▲99円の2万2,408円と反落となりました。

 10日(木)は、前日の米国市場でイラン核合意離脱を受けて原油価格が上昇。エネルギー株が大幅高となり、10年債利回りが再び3%台乗せとなって金融株が上昇しました。3指標そろって大幅高となったことで、日経平均も買い先行し、+121円の2万2,530円まで上昇しました。しかし、2万2,500円を上回ると上値が重くなり、終値では+88円の2万2,497円の反発で引けました。

 週末の11日(金)は、前日の米国市場で消費者物価指数が予想を下回ったことでインフレ期待が低下。6月利上げ観測が後退したことで、前日に続いて3指標が大幅高に。これを受けて日経平均は、2万2,500円の目先の上値のフシを軽く突破し、+76円の2万2,573円で寄り付きました。一時+271円の2万2,769円まで上昇し、大引けは+261円の2万2,758円の大幅続伸となりました。

 2万2,700円台は、2月2日の2万3,274円以来、約3カ月ぶりの高値水準で、この日の終値2万2,758円は、SQ値の2万2,621円を大きく上回って引けていますので、一般的には翌週は堅調な動きが想定されることになります。
 11日(金)の米国市場は、前日の4月消費者物価指数の予想を下回る結果を受けて早期利上げ観測が後退し、穏やかな利上げ見通しを背景に買い優勢が継続し、NYダウは+91ドルの2万4,831ドルと7日続伸となりました。週足では3週間ぶりの反発でした。シカゴの日経先物は▲25円の2万2,705円でした。

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中東情勢に注意しつつ、2万3,000円への戻りを試す動きへ

 今週は、チャート上は先週の8日(火)に2万2,508円の終値となり、2月27日の戻り高値2万2,502円を上回り、2万2,500円をはさんでもみあいました。その後、週末の11日(金)には+261円の2万2,758円と一気に上放れとなりました。背景は1ドル=109円台の円安水準で推移していることと、NYダウの7日連続の上昇から出遅れ感がでてきたというところです。目先は2万3,000円の心理的フシとなりますが、ここを突破すると2月2日の2万3,367円(マドを空けて急落した上限値)となります。それ以上となると為替が1ドル=110円を大きく回復する動きが必要です。

 米国では11月の中間選挙を控えて、トランプ大統領は中国と特に日本には貿易是正の要求がでてくるものと思われます。 目先は6月12日に米朝首脳会談が決定したことで、アジアの地政学的リスクは後退し、日本株式にとってはプラスです。しかし、一方でトランプ政権はイラン核合意からの離脱と対イラン制裁を表明しており、中東の地政学的リスクが深まってきています。ここでのリスクは制裁再開を巡り、原油高がさらに大きく上昇することになりますと、日本株式にとってはマイナス材料となります。強弱材料を織り込みながら戻りを試す動きとなりそうです。

 5月14日は、▲53円で寄り付き、▲75円までさげましたが、売り一巡後は好決算発表でプラスに転換し、一段高となって+107円の2万2,865円で引けました。米朝首脳会談に対する楽観的発言により北朝鮮リスクが大きく後退したことも相場の押し上げ要因となっています。一方でイラン問題やエルサレム問題は中東の地政学的リスクは無視されています。好材料に敏感、悪材料に鈍感になっている株式市場といえます。

 

(指標)日経平均

先週の予測

 チャート上は2月27日の戻り高値2万2,502円や一目均衡表の雲の上限2万2,533円、柴田罫線の2万2,553円が意識されるところであるが、週末が国内企業決算のピークを迎え、手控えムードもあり、目先は2万2,500円台を戻していくのは難しく、2万2,100~2万2,500円のレンジ内の動きを想定しました。

結果

 5月10日(木)までは、2万2,350円を安値とし、2万2,566円を高値に2万2,500円をはさんだもみあいとなりましたが、NYダウが7日続伸の上昇となって買い圧力が高まったことで週末はSQ清算値をめぐる買い方有利の展開もあって+261円の2万2,758円と一気に上放れとなりました。

今週の予測

 相場を取り巻く環境としては強弱入り交じった形となります。6月12日にシンガポールでの米朝首脳会談が決定したことでアジアの地政学的リスクは後退。しかし、米国のイラン核合意離脱と対イラン制裁の表明で中東での地政学的リスクは高まります。チャートの形は、25日移動平均線が75日移動平均線を上に抜けたものの、75日移動平均線は下向きとなっていますので、不確実なゴールデンクロスです。海外投資家は4月第4週の売り越から5月第1週は買い越となっています。一方で米中貿易交渉が不透明なところもあります。何も起こらなければ、もみ合いながら戻りを試すことになりそうです。

 

(指標)NYダウ

先週の予測

 6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げの思惑が高まるのか、後退するのかによって長期金利の上昇に影響を受け株価も左右されることになるとしました。また、米中貿易摩擦懸念が高まるようだと株価の上値は重くなるとしました。株価の動きは2万3,500~2万5,000ドルのレンジ内の動きを想定しました。

結果

 週前半は米国のイラン核合意からの離脱表明で下げる場面もありましたが、原油価格の上昇がエネルギー株の上昇となって6月の利上げ観測が後退し、長期金利も低下したことでNYダウは7日続伸となり、週末の11日は+91ドルの2万4,831ドルと想定したレンジの上限2万5,000ドルに接近して終わりました。

 チャート上は4月17日の戻り高値を少し超えたところにきていますが、2万5,000ドル水準をアタマに一服する可能性があります。2万5,200ドル台を上回ってくるとようだと2月27日の2万5,800ドルが目標となってきます。

 

(指標)ドル/円

先週の予測

 材料が強弱入り交じり、もみあいを想定。6月の早期利上げ観測の思惑が高まればドル高、一方で米中貿易摩擦はドル売り要因となりますので、1ドル=108~110円のレンジの中で110円が目先の上値のフシになるとしました。

 米朝首脳会談への期待でドルは堅調となり、一時110.04円まで買われました。しかし、イラン核合意からの離脱や対イラン制裁の表明で中東への地政学的リスクからのドル売りにより、また消費者物価指数の低下でドルの上値は重くなり、109.33円で引けました。

 ヨーロッパの中央銀行の早期利上げは後退し、一方でFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ継続方針は変わらないのでドル買いが継続する可能性はあります。ただし、トランプ大統領のイラン核合意離脱と対イラン制裁が地政学的リスクを高め、ドルの上値は重くなります。ドルが買われれば111円を試す形といえます。