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米国には、消費者が購入する財やサービスの価格を測る指標として、消費者物価指数(CPI)と『個人消費デフレーター』(PCED)があります。CPIとPCEDは、対象費目の範囲や構成比率が異なるほか、指数の算出方法にも違いがありますが、物価の動向をより正確に捉えているのはPCEDの方です。このため、米連邦準備制度理事会(FRB)は金融政策を決定するうえで、PCEDの方を重視しています。
【ポイント1】FRBは『個人消費デフレーター』を重視
消費者物価指数よりも物価の動向をより正確に捕捉
消費者は通常、価格が上昇した商品の購入を控え、替わりに安い価格の商品の購入を増やすという行動をとります。ところが、CPIは、指数を構成する項目の割合を基準年に固定しているため、こうした消費者行動の変化を反映させることができません。このため、CPIは高めに出る傾向があります。
一方、『個人消費デフレーター』(PCED)は、基準年を毎年更新していますので、消費者の支出行動の変化を捉えることができ、CPIよりも物価の実態をより正確に表しているといえます。このため、FRBは物価の指標としてPCEDの方を重視しています。
【ポイント2】2018年に入って物価上昇が加速
医療価格の上昇が原因、需給逼迫によるものではない
PCEDのなかでもFRBが注視しているのは、価格変動の激しい食品とエネルギーを除いた、基調的な物価の変動を測るコア指数です。そのコア指数の上昇率は、昨年12月の前年同月比+1.5%から今年3月の同+1.9%に加速し、FRBの目標値である+2%に接近してきました。
主因は、PCEDコア指数に占める比重の高い医療サービス価格の高騰です。昨年10月に医療機関への診療報酬が改定されましたが、それを受けて民間保険会社も同様に価格を改定した影響によるものと見られます。つまり、PCEDコア指数の上昇率加速は、必ずしもインフレ加速を示すものではないということです。
【今後の展開】金融政策は緩やかな利上げ継続の見通し
そのほか、今年1~3月の財価格を押し上げてきたアパレルや家具・家電等の価格上昇も、ハリケーンの復興需要による一時的なものと見られます。こうした点を踏まえると、PCEDコア指数上昇率が将来も持続的に加速する可能性は低いと考えられます。
PCEDコア指数は、前年比+1.8%~+2.0%のレンジで当面、推移する見通しです。FRBは今後も利上げを継続すると予想されますが、PCEDコア指数の上昇率が+2%を大きく超えてこない限り、利上げの速度を上げることはないと思われます。
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