今週はレポートもゴールデンウイーク進行ということで、筆者がインスパイアされた投資関連書籍を紹介したい。

 1989年に外資系金融機関の外国人から強力に進められて読んだ本が『ウォール街の乗取り屋』である。この本は残念ながら絶版になっている。「資本というものは決して不足しない」という信念で、ジャンクボンドの帝王となったマイケル・ミルケンは、この30年間世界を席巻してきた金融資本主義の礎を築いた男である。

 ミルケンが作ったLBOや債券金融システムがなかったら、今のアマゾンやフェイスブックなどのFAANG銘柄の企業などなかったかもしれない。ミルケンのモーレツな仕事ぶりと、質素な生活。こんな働き方をする人がいるのかと正直驚いたし感銘を受けた。マイケル・ミルケンについては、ラジオNIKKEIの昨年12月30日の放送『プロが語る!2018年マーケットの見方』(2017.12.30)を聴いていただきたい。とにかく前代未聞のトレーダーである。

『ウォール街の乗取り屋』 コニー・ブルック著

狙った獲物は逃さない、小が大を呑むM&Aの舞台裏。ピケンズ、アイカーン等、大物乗取り屋を陰で操り、米国大企業を震え上がらせたドレイクセル社、ミルケン。その巨額な資金はどのように集められ、どこに流れていったか、全米ベストセラー。

『先物市場のテクニカル分析』 ジョン・J.マーフィ著

私は過去に新人トレーダーや金融機関の社員研修を長期間おこなっていたことがある。その際のテクニカル分析のテキストに使っていたのが、『先物市場のテクニカル分析』である。

この本は1980年代に書かれたものだが、改訂された最新バージョンが下記『マーケットのテクニカル分析』で、翻訳が2017年11月に発売になった。

『マーケットのテクニカル分析』 ジョン・J.マーフィ著

テクニカル分析を使って売買する投資家はもちろん、テクニカル分析を使わない投資家も最低限その内容を知っておきたい本である。テクニカル分析の入門書としては、この本が一番良いだろう



投資を事業として真剣に取り組みたい投資家は、以下の2冊の本は必読書と言えるだろう

『規律とトレンドフォロー売買法 上げ相場でも下げ相場でも利益を出す方法』はトレンドフォローという売買の優位性が説明されている。世界を代表するトレンドフォロワーであるジョン・ヘンリーの考え方を知るだけでも、この本を読む価値がある。

「トレンドフォローは30年以上にわたって上げ相場でも下げ相場でも並外れた利益を 出してきたトレーディング戦略だ。2008年に株式市場が崩壊すると、バイ・アンド・ ホールドで身動きがとれなくなった投資家たちは大金を失った。しかし、トレンドフォロワーたちは2008年10月の1カ月だけで巨額の収益を上げ、最大40%という途方も ない利益を出した!チャンスでの到達目標を正確に 何を、いつ、どれくらいの量でトレードすべきか今日の代表的トレンドフォロワーとの出会い デビッド・ハーディングからジョン・W・ヘンリー、エド・スィコータまでの並外れたトレーダーを紹介している」(紹介文より)

『規律とトレンドフォロー売買法 上げ相場でも下げ相場でも利益を出す方法』 
マイケル・W・コベル著

劣化しない最強戦略!
大相場や大暴落では必ず大勝する!
価格こそがすべて!
だれもが損をしているときに莫大な利益を出す戦略!

「ルネッサンス・テクノロジーズ」や「2シグマ」のような物理学や数学を駆使した高度なクオンツ運用を、普通の投資家が行うことはまず不可能だ。これができるのは、"ハードウェアを十分に活用できるアプリケーションデザイナーと開発者チームを結成できる潤沢な資金を持つ者たちだけ(ロバート・パルド)"である。

 しかし、「長期的に成功している投資家は、自由裁量トレーダーであれ、システムトレーダーであれ、例外なくシステマティックなトレーディング戦略を使っている」(ロバート・パルド)ということは疑いのない事実である。

 筆者の独断と偏見で言わせていただくと、筆者の運用に最も役にたった本は、コンピュータートレーディングのエキスパートであるロバート・パルドが書いた 『アルゴリズムトレーディング入門 』である。

 この本は「アルゴリズム取引入門」というタイトルになっているので、一般の投資家からは難しそうな本だと敬遠され、全く売れていない。しかし、「本書はシステムトレーダーであろうとなかろうと、いかなるトレーダーにとっても価値のあるものだと信じている。こういうことを言うと驚く人がいるかもしれないが、本書は自由裁量のトレーダー、つまり、システムトレーディングを行なわないトレーダーにもぜひ読んでもらいたい本です」と、ロバート・パルドは述べている。

 米著名投資家ラリー・ウィリアムズは、「あなたのシステムは将来も利益を生み出すことができるシステムだろうか。システムがリアルタイムで使えるものかどうかをチェックするための方法がウォークフォワード分析だ。勝てるシステムは、正しく構築され、ウォークフォワード分析で実証されたシステムだけである。勝負は始める前にすでについているのである」 と述べているが、日本で出版された投資関連書籍のなかで最も良質な本であることは間違いない。

「相場をどう認識するか?」という手段の一つとして、現在ではテクニカル分析の手法を理解することは不可欠である。筆者は30年超の期間、相場の世界に身を置いているが、システマティックなアプローチとシステマティックな損切りを使わないと、事業として相場で長期的に利益を上げることは難しいというのが実感である。

『アルゴリズムトレーディング入門』 ロバート・パルド著

利益をずっと生み続けるシステムの作り方!
自動売買を目指すトレーダーの必携書!
自動売買のバイブル!
トレーディング戦略を正しく検証・最適化するには…