自動車市場の対外開放で株価大幅安、「市場の過剰反応」か

現地コード 銘柄名
01114

華晨中国汽車控股

(ブリリアンス・チャイナ・オートモーティブ)

株価 情報種類
 14.84HKD
(4/17現在)
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 ブリリアンス・チャイナの株価はここ数週間にわたって大きく下げたが、これは中国政府が国内自動車市場の対外開放策を明らかにしたことが背景。対外開放策は主に、「自動車合弁会社における外資側の出資制限(上限50%)の撤廃」と「自動車輸入関税の引き下げ」であり、BMW車の合弁生産を手掛ける同社への悪影響に対し、市場の警戒感が高まった。ただ、BOCIは同社と独BMWとの良好な関係や合弁契約が2028年まで延長されていることなどを指摘。この先、外資出資制限が撤廃されても、BMW側が合弁会社の出資比率引き上げに動くだけの動機があるか疑問視している。

 マーケットは外資規制の撤廃による同社への影響を警戒しているが、BOCIは「過剰反応」との見方。その理由として、◇関連政策の詳細がまだ明らかになっていない◇合弁会社の持ち株比率を見直す場合、政策面の規制撤廃より、中外パートナー間の協議が重要になる◇BMWは合弁期間をすでに2028年まで延長したの3点を挙げた。少なくとも28年まで、BMW側が出資比率引き上げに動く可能性は低いとの見方だ。また、BMWが今後、新エネルギー車製造事業を単独出資で立ち上げようとしても、投資額の大きさやスケールメリットの欠如などから、「ほぼ実行不可能」としている。

 一方、輸入関税の引き下げに関しては、BOCIは輸入車の価格競争力が高まるとして、合弁事業にある程度のマイナス影響が及ぶ可能性を認めている。ただ、ローカル化モデルが国内ユーザーの好みに合わせ、カスタマイズされている点(ロング・ホイールベースの採用など)を指摘し、悪影響は限られる見通しを示した。さらに、中国で輸入車需要が拡大した場合、海外メーカーにとっては生産能力の確保が問題となる可能性があると付け加えている。

 市場はまた、関税引き下げがBMW「X5」などの現地生産計画に影響する可能性を懸念しているが、BOCIはこの点に関しても楽観的。合弁メーカーがニューモデルの生産に踏み切るかどうか決める上では、新たな関税率がどの程度になるかより、アウディ「Q7」やベンツ「GLE」といった競合モデルのローカル化計画や、関税引き下げ後の同型輸入車の売れ行きが判断材料になると指摘。こうした点を考慮すれば、「X5」はやはり、中国で合弁生産される可能性が高いとみている。

 BOCIは各種要因を考慮した上で、ブリリアンス・チャイナの現在株価がすでに、長期の懸念材料をほぼ完全に織り込んだとの見方。18年予想PER8.7倍、19年予想PER6.4倍という低バリュエーションを指摘し、目標株価を同13.5倍、同10倍の水準に維持。株価の先行きに対して強気見通しを継続した。投資家に対しては、近く開幕する北京モーターショーでの「X3」のデビューや、BMWの18年1-3月期の決算発表(5月4日の予定)といった短期の支援材料に目を向けるよう勧めている。