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 ADB(Asian Development Bank、アジア開発銀行)は、アジア・太平洋地域の経済発展に貢献することを目的として1966年に創設されました。現在は67カ国・地域が加盟しています。日本は米国と並ぶ第一位の出資国で、歴代のADB総裁には黒田日銀総裁など日本人が就任しています。直近の年次経済レポートの『アジア経済見通し2018』によると、今後もアジア経済は高成長が続く見込みです。

 

【ポイント1】2018年、2019年ともに比較的高い成長が続く見通し

堅実な政策に加え、輸出や内需が拡大

 4月11日、ADBは『アジア経済見通し2018』を公表しました。アジア・太平洋地域(日本などの域内先進国を除いた45カ国・地域)の実質GDP成長率は、2018年が+6.0%、2019年が+5.9%と予測されています。2017年の+6.1%と比べてわずかに減速するものの、比較的高い成長が続く見通しです。同地域では、堅実な政策に加えて輸出や内需が拡大していることが、こうした高い成長の背景にあります。

 

【ポイント2】インドの成長加速が、アジアの成長をけん引する見込み

高額紙幣廃止とGST導入の影響は薄れていく

 

 各国・地域別に見ると、中国は2017年の+6.9%から、2018年は+6.6%、2019年は+6.4%と、徐々に減速するものの、国内外の高い需要と経済改革により、比較的高い成長が続くと予測されています。

 一方、インドは高額紙幣廃止と物品サービス税(GST)導入の影響により2017年度は+6.6%と下振れました。今後はその影響が薄れ、改革の効果により成長が加速し2018年度は+7.3%、2019年度は+7.6%となると見込まれています。

 東南アジアでは、2018年、2019年は2017年並み(+5.2%)の成長が続くと見込まれています。特に、インドネシアやフィリピン、タイでは堅調な投資と国内消費により成長が加速すると見られています。

 

【今後の展開】貿易摩擦と、米利上げに伴う資本流入の減少は今後のリスク

『アジア経済見通し2018』では、今後のリスクとして貿易摩擦の悪化と、米国の利上げによるアジア・太平洋域内からの資本流入の減少を指摘しています。ただし、域内の貿易を通じた経済の繋がりがより強固になっているほか、金融面のゆとりがあるため、これらのリスクへの耐性があるとしています。こうしたことから、アジア・太平洋地域では、今後も比較的高い成長が続くと見込まれます。