元安トレンド収束で収益見通し大きく改善、ロードファクターも好調維持

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01055 中国南方航空(チャイナ・サザン・エアラインズ)  6.49 HKD
(06/26現在)
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元安トレンドに歯止めがかかり、人民元の対米ドル相場が安定したことを受け、BOCIは中国南方航空の為替差損見通しを大幅に引き下げ、これに伴い2017年、18年の予想純利益をそれぞれ68%、30%大きく増額修正した。年初から高水準を維持している同社のロードファクター(有償座席利用率)についても、夏のピークシーズンに向けて好調を維持するとの見方。ただ、BOCIは同社A株の先行きに対して強気見通しを示す半面、H株の現在株価は好材料をほぼ織り込んだとみて、先行きに対する中立見通しを継続している。

同社は決算通貨、機能通貨が人民元であるにもかかわらず、米ドル建て債務や米ドル建てファイナンスリースを抱えており、人民元の為替相場動向に極めて敏感。元安が為替差損の増大につながる。ただ、BOCIマクロチームが設定した17年末の予想人民元相場は1米ドル=7.0元(18年末には同7.5元)と、16年末(6.94元)比でわずかな元安水準に過ぎず、BOCIはこれを反映させる形で、同社の為替差損見通しを22億7100万元から4億200万元へ大きく減額修正した。これに伴い、17年、18年の予想純利益をそれぞれ33億600万元から55億4200万元へ68%上方修正している。

一方、ロードファクターは年初から好調。5月には有効座席キロ(ASK:旅客輸送容量を示す)が前年同月比11.6%増えたにもかかわらず、旅客部門全体のロードファクターが同1.8ポイント高の80.8%に達した。1-5月のロードファクターは、全体で前年同期を2.3ポイント上回る82.2%。国内線、国際線でそれぞれ2.7ポイント、1.3ポイント上向いた。ロードファクターの好調を受け、BOCIは17年の予想売上高を1277億5800万元から1283億5000万元へ小幅に増額修正した。

国際線では引き続き厳しい市場競争が続いており、中国民用航空局(CAAC)のチケット価格指数を見ても、国際線運賃の下落圧力がくすぶっている。その一方、国内線のチケット価格指数は一部路線の規制撤廃や需要増を背景に小幅ながらも上向き。全体では17年の横ばい推移が見込まれるという。

BOCIは北海ブレント原油価格に関する17年、18年の想定値(1バレル=57米ドル、58米ドル)に基づいて同社の予想ROEを4.6ポイント、2.2ポイント引き上げ、それぞれ11.9%、11.6%に設定。17年予想PBR1.2倍をあてはめ、H株の目標株価を引き上げた。予想PBR1.2倍との基準は従来の1.05倍からの上方修正に当たるが、予想ROEの引き上げや利益見通しの改善を受け、BOCIはこの目標水準が適当との見方だ。また、過去2年間のAH価格差をベースに、A株目標株価も引き上げた。レーティングの見直しにつながる可能性がある同社の潜在リスク要因としては、一段の元安、あるいは原油高の可能性を挙げている。

作成日: 2016年06月26日

 

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