政策支援が追い風、本格的な有力バイオ企業に成長へ

現地コード 銘柄名
01530

三生製薬

(スリーエスバイオ)

株価 情報種類
 19.18HKD
(4/13現在)
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 三生製薬の新薬開発業務は2015年7月の新薬承認申請2件(トラスツズマブとリツキシマブ)の取り消しを受けて一時停滞していたが、その後は「基本医療保険適用医薬品リスト(NRDL)」への自社製品の採用や国家レベルのイノベーション奨励策など、政策面での追い風が相次いでいる。1993年創業の同社は中国のバイオ技術のパイオニアであり、TPIAO(遺伝子組換えヒトタンパク=rhTPO製品)、Yisaipu(TNF-α阻害薬)、EPIAO(遺伝子組換えエリスロポエチン)分野で国内最大手。BOCIは同社に関する3つのテーマとして、◇NDRL採用による主力製品TPIAOと Yisaipuへのインパクト、◇開発パイプライン(新薬候補)の力強さ、◇バイオCDMO(医薬品受託開発・製造)事業への進出を指摘し、同社売上高、純利益が17~20年に年率平均24.9%、20.8%の成長を遂げると予想。株価の先行きを強気見通しに設定した。

 17年10-12月期にはTPIAO、Yisaipuの売上高が前年同期比66%、25%増加したが、これはNDRLに採用されたため。NDRLは省・市などの地方当局が医療保険の適用基準としているリスト。BOCIは基本シナリオの下、TPIAO、Yisaipuの売上高が18~20年にそれぞれ前年比19~31%、20~26%の伸びを示すとみている。

 同社が研究開発を進める新薬候補は、自己免疫疾患、腫瘍、腎臓病治療薬などを中心に31種を数える。BOCIによれば、中でもブロックバスター(画期的な薬効を持ち圧倒的な売り上げを記録する新薬)候補と言えるのは、302H(トラスツズマブ・バイオシミラー)、SSS06(長時間作用型EPO)、SSS11(ペグシチカーゼ)の3つ。いずれも各分野を牽引する潜在力があるという。

 同社は大型買収(14年の深圳賽保爾生物薬業とイタリア企業Sirton Pharma、15年の三生国健)に加え、アストラゼネカ、イーライリリーといった多国籍製薬企業とのライセンス契約を行った実績があり、BOCIはその経営手腕を高く評価している。最近ではカナダのセラピュア・バイオファーマのCDMO部門を2億9,000万米ドルで買収する計画を発表し、これを世界の生物製剤プラットフォームに位置付けるとした。取引は4-6月期中に完了する見込み。BOCIは新たな買収資産の成長力を評価すると同時に、三生国健やSirton Pharmaといった既存のCDMO施設とのシナジー効果を見込む。

 BOCIはDCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づき、目標株価を設定(加重平均資本コスト=WACCは9.0%、残存価値増加率3.0%を想定)。株価に対する強気見通し、同社株の新規カバレッジを開始した。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在的なリスク要因としては、◇主力製品の予想以上の価格低下、◇新薬開発における個別の失敗・遅れなどの可能性、◇買収資産の統合や収益成長が計画通りに進まない可能性を挙げている。