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 中国の習近平国家主席は、4月8~11日に中国海南省博鰲(ボアオ)で開催されたアジア・フォーラム年次総会での基調講演において、中国市場の対外開放を強力に推し進めることを強調しました。サービスと金融セクターを中心に市場の大幅な自由化を進めるほか、外資への開放が進んでいる製造業でも、自動車業界などで残っている規制を撤廃する方針です。前向きな内容であり、貿易摩擦の緩和につながることが期待されます。

 

【ポイント1】中国、『市場開放』のための4本の政策を発表

サービス業の対外開放や知的財産権保護の強化など前向きな内容

 中国の習近平国家主席は、4月10日、ボアオ・アジア・フォーラム(※)の2018年年次総会で基調演説を行い、「中国の改革・開放路線の発展に向け、4本の重大な施策を実施する」と表明しました。

 重大な施策とは、(1)金融を中心としたサービス業等での『市場開放』と規制緩和の加速、(2)透明性の高い投資環境の構築、(3)知的財産権保護の強化、それに向けて専門の国家機関を改組、(4)自動車の輸入関税の大幅引き下げ等による輸入の促進の4点です。

(※)ボアオ・アジア・フォーラムは、スイスの保養地ダボスで毎年開かれるダボス会議を主催する世界経済フォーラムにならい、そのアジア版を目指して、中国政府主導により2001年2月に発足しました。

 

【ポイント2】米国、対中制裁措置を発表

中国も対抗措置を打ち出す

 

 米国のトランプ政権は、今年3月8日に鉄鋼とアルミ二ウムの輸入品に対する追加関税を導入、3月22日には、知的財産権の侵害などを理由に、中国に対して「通商法301条」を適用し、500億ドル相当の中国製品に対する25%の輸入関税の賦課、中国企業の対米投資を制限といった制裁措置を発表しました。

 これに対抗して、中国も4月2日に、128品目、30億ドル相当の米国製品に最大25%の追加関税の賦課を実施しています。

 

【今後の展開】期待される貿易摩擦の緩和

 トランプ米大統領は4月5日に、追加関税を課す中国製品を1,000億ドル上積みすることを検討するよう米通商代表部(USTR)に指示しました。今回の習主席の講演は、このような報復措置の応酬に歯止めをかけることが狙いと考えられます。

 貿易摩擦の激化は、米中経済のみならず、世界経済にも深刻な打撃を与えかねません。しかし、習主席が今回、発表した海外への『市場開放』拡大策は前向きな内容と評価されます。今後、両国の貿易摩擦緩和につながることが期待されます。