先週の国内株市場ですが、週末4月13日(金)の日経平均終値は2万1,778円でした。前週末終値(2万1,567円)からは211円高となり、週足ベースでは3週連続の上昇を見せています。また、下の図1にもある通り、3月26日を底にした戻り基調が継続した格好になっています。
■図1:日経平均・日足の動き(2018年4月13日取引終了時点)
ただし、相場のムードはイマイチ盛り上がりに欠けている印象です。週末13日(金)の東証1部の売買代金は2兆4,390億円でしたが、この日がオプション取引とmini先物取引のSQ日だったことを踏まえると売買は少なめでした。ちなみに、この日の終値(2万1,778円)は、SQ値(2万1,853円)に届きませんでしたが、取引時間中の高値が2万1,917円をつけていたことで、辛うじて「幻のSQ」にならずに済みました。
また、先週のローソク足の並びを見ても、陽線が2本続いた後に、安値引けの陰線や十字線、上ヒゲが長めの陰線が続いており、週前半の上昇分を何とか維持して週末を迎えた値動きでした。先行きの視界が晴れたとは言い切れず、もどかしいものがあります。
とはいえ、先週の株価上昇のきっかけになったのは、通商をめぐる米中のやり取りが歩み寄りの兆しを見せたことと、顧客情報の不正使用に関して行われたフェイスブックのザッカーバーグCEOによる議会証言が波乱なく通過するなど、目先の不安に対する二つの警戒が和らいだことです。
この二つの警戒は、先月(3月)の中旬から下旬にかけて演じた急落時の材料です。先週の高値は4月10日の2万1,933円ですが、急落前高値(3月12日の2万1,971円)を超えることはできなかったものの、ほぼ同水準まで戻しており、不安材料の後退を素直に織り込んできたと言えます。
そのため、上値の重たさばかりが気になりますが、むしろ着実に下値を切り上げていることを評価したほうが良いのかもしれません。
それを踏まえて、直近の状況を株価水準で捉えて見ます。
■図2:日経平均・日足の動き その2(2018年4月13日取引終了時点)
上の図2は、株価の下げ幅からの戻り目安を示したものです。具体的には、1月23日から3月26日の下げ幅に対する、(1)3分の1戻し、(2)38.2%戻し、(3)半値戻し、(4)61.8%戻し、(5)3分の2戻し、(6)76.4%戻しを示しています。(2)と(4)、そして(6)の数字が気になりますが、これはフィボナッチ級数に基づく戻りの目安です。
先週の値動きによって、日経平均は(1)の2万1,607円をクリアし、(2)の2万1,791円に手が届いたところまで値を戻してきたことがわかります。となると次の目標は、(3)の半値戻しである2万2,238円になります。ここで再び図1に視点を戻して頂きたいのですが、この半値戻しの水準は、ちょうど現時点での75日移動平均線の水準でもあります(4月13日時点では2万2,275円)。
ですので、基本的なシナリオとしては、まもなく本格化する企業の業績と見通しをにらみつつ、上方向を見て押し目買いを入れて行くスタンスが想定されます。ただ、先行きの視界が晴れたとは言い切れない面もあります。とりわけ、先週後半の値動きに影響を与えたのは、シリア情勢をめぐるトランプ米大統領の挙動によって、不安が高まったり、後退したりと、風見鶏のようにムードがコロコロ変わってしまったことが挙げられます。
週末には、米国がシリアに攻撃を仕掛けたという報道が飛び込んできましたし、今週は日米の首脳会談も予定されています。TPPへの復帰を示唆するなどの期待がある一方で、米中間のやりとりで気を良くしたトランプ大統領が「次のターゲットは日本だ」となる展開も予想されます。風見鶏相場が今週も続く可能性があるため、勇気とガマンが必要になりそうです。
最後に週足でもトレンドの状況を確認しています。下の図3は、これまでに何度か紹介した、平均足とMACDです。
■図3:日経平均・週足とMACD(2018年4月13日取引終了時点)
平均足とMACDの組み合わせは、トレンドの転換を探る上でよく使われます。具体的なサインは、平均足の転換とMACDとシグナルのクロスです。
日足ベースでは戻り基調を描いていることは既に述べた通りですが、週足ベースでも、すでに平均足が陽転していますので、後はMACDがシグナルを上抜けクロスできれば、下落トレンドからの転換となりますが、現在のMACDとシグナルとの間にはやや距離がありますし、MACDの値も0円ライン付近で踏ん張っている状況が続いているところをみると、もう少し日柄調整が必要かもしれません。
そのため、今週は下値の堅さが試される週になりそうです。
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