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『さくらレポート』は、日銀が3カ月に1度発表する地域ごとの景気情勢をまとめた「地域経済報告」のことです。「さくら」は、報告書の表紙が薄いピンクであることにちなんでいます。12日発表の4月のレポートでは、全国9地域のうち2地域で景気判断が引き上げられました。なお、米国の連邦準備制度理事会(FRB)がまとめる地区連銀経済報告は表紙がベージュ色のため「ベージュブック」と呼ばれています。
【ポイント1】四国、九州・沖縄の2地域で景気判断を引き上げ
地域経済は底堅く推移、輸出の増加や個人消費の改善などが主因
4月12日、日銀は最新の『さくらレポート』を発表しました。前回と比較すると景気判断は全国9地域中、四国、九州・沖縄について個人消費の回復を背景に引き上げました。一方、北海道について台風被害後の復旧工事の一巡による公共投資の減少を主因に景気判断を引き下げました。
各地域の景気の総括判断を見ると、6地域(北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、九州・沖縄)で、「拡大している」としているほか、3地域(北海道、東北、四国)では、「緩やかな回復を続けている」等と判断されました。地域経済は引き続き総じて底堅く推移していると見られます。
この背景として海外経済の着実な成長に伴い、輸出が増加基調にある中で、労働需給が引き締まりを続け、個人消費が改善するなど、所得から支出への前向きな循環が続いていることが挙げられています。
【ポイント2】設備投資の増加基調が続く
人手不足や技術革新による需要増加
今回の『さくらレポート』の中では、設備投資の好調も示されました。背景には深刻な人手不足と技術革新があると見られます。国内外での省力化投資が旺盛であることや、能力増投資を実施している、AIを活用した自動発注システム、IoT(モノのインターネット)対応投資を増やすなどの言及が多く見られました。これらは一過性の要因ではないため、今後も持続的な需要拡大が期待されます。
【今後の展開】雇用・所得環境の改善により、好循環の継続に期待
今回の『さくらレポート』では、賃金の引き上げ、福利厚生の改善を実施した例が多数報告されています。一方、深刻な人手不足や、米中間の貿易摩擦問題による株価や為替の不安定な動きに警戒感が出ています。こうした懸念はあるものの、好調な世界経済や技術革新による需要の増加、日本の雇用環境の改善は当面継続すると見られ、日本経済の緩やかな回復傾向は続くと見込まれます。雇用・所得環境の改善が消費に結びついていく好循環が続くことが期待されます。
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