18年の収益2桁増を予想、高速鉄道の設備更新でまずは2億元の受注獲得

現地コード 銘柄名
03969

中国鉄路通信信号

(チャイナ・レールウェイ・シグナル・アンド・コミュニケーション)

株価 情報種類
 5.93HKD
(4/6現在)
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 BOCIはこのほど、中国鉄路通信信号の決算発表後のIR活動(ロードショー)を主催し、その間に同社経営陣がポジティブなメッセージを発したと報告している。2017年本決算は初めて予想を下押ししたが、経営陣は続く18年の売上高、税引き前利益、新規受注について、いずれも前年比2桁増との見通しを示したという。同社は高速鉄道の設備更新に絡む総額2億元の受注を獲得したばかり。BOCIは地下鉄関連業務や施工、交換用の設備販売が18年の成長エンジンになるとの見方。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 営業キャッシュフローは17年に初めてマイナス(8億8,600万元)となった。通常のプロジェクトより現金支出が膨らみやすいPPP(官民連携)プロジェクト向けの投資がかさんだため。ただ、18年に関しては、プロジェクトの選別方針などから、再びプラス化する見通しを示している。

 17年の配当性向は40%。18年も30~40%を維持する方針であり、この数字は同業銘柄を上回る。キャッシュフローに問題がない限り、経営陣は積極的な配当政策を継続する見通しという。純負債比率は17年にマイナス44.9%と、ネットキャッシュがプラスの状態にあり、17年末の手許現金は111億元。現金の使い道については「買収機会を探る」としながらも、あくまで慎重に検討していく姿勢を示している。

 一方、同社が最近受注したのは、北京-天津高速鉄道(08年開通、鉄道設備の更新時期の目安は10年)の信号伝達システムで、総額2億元超。10年前には独シーメンスのシステムを導入したが、中国鉄路総公司(CRC)は今後のメンテナンス費などを考慮した上で、今回のシステム交換を決定した。これが高速鉄道の設備更新の先例となり、次には武漢-杭州高速鉄道が続く運びとなる。なお、同社の17年の新規受注は前年比22.7%増。15年8月の上場以来、年平均20%を超える伸びを維持した。

 同社は長距離鉄道、都市鉄道の両市場で高い競争力を誇る信号システムプロバイダー。長距離鉄道では、新規設備で65%、更新・アップグレードで90%のシェアを握る。都市鉄道市場においては、仏アルストムとの合弁会社が35~40%のシェアを持つ。ただ、経営陣はCRC傘下の 中国鉄道科学研究院(CARC)との受注競争に直面していることを認めており、BOCIはこの点から当面、一定のマイナス影響が見込まれるとしている。

 BOCIはロードショーにおいて明らかにされた情報に特にサプライズはなかったとし、現行の利益見通しと目標株価を据え置いた。ただ、現在株価の18年予想PERが11.3倍にとどまり、中国中車(01766)、株洲中車時代電気(03898)を15%ほど下回る点を指摘。この3社は本来、同等レベルのPERに値するとし、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。