豊富な保有地を強みに販売拡大見通し、「質」重視戦略で負債比率は低減へ

現地コード 銘柄名
03333

恒大地産集団有限公司

(エバーグラン・リアルエステート)

株価 情報種類
 24.70HKD
(4/3現在)
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 BOCIはこのほど、中国恒大集団のIR活動をアレンジする中で、同社経営陣から最新情報を収集した。その結果、2018年の予想EPSを8.2%上方修正した。また、純負債比率に関する予想値を44ポイント大きく引き下げ、新たに105%に設定した。同社業績の好調については、直近の金融緩和局面での積極的なレバレッジ戦略が奏功したとみている。現時点で、同社の手元にある未計上の物件分譲益は500億元超。さらに、延べ床面積換算で3億1,200万平米に上る豊富な開発用地(平均取得コストは相対的に低水準となる1平米=1,711元)を強みに、今後も高収益を持続する見込み。BOCIは同社株価の先行きに対して極めて強気の見通しを維持している。

 17年末時点で未計上の販売収入5,000億元のうち、約65%が18年中に計上される見込み。ほかに18年の予想成約額(5,500億元)の約15%が年度内に計上される可能性が高く、物件販売収入は結果的に4,070億元に達する見通しという。BOCIはこれに約100億元のその他収入を上乗せした上で、18年の予想売上高を5%増額修正し、4,170億元に設定している。

 BOCIは3億1,200万平米に上る豊富な保有地を理由に、向こう5年間の物件成約額が年率平均15%の伸びを示すと予想。経営陣が示した18年の成約目標5,500億元、20年の成約目標8,000億元はいずれも達成可能とみている。また、同社は「量」から「質」に、成長戦略の焦点をシフトする方針。BOCIはこの戦略下で、18年にはROE(株主資本利益率)が31%に達するだけでなく、純負債比率も低減するとみている。土地取得費、設備投資を1,300億元、1,100億元と予想し、18年末の純負債比率については105%を見込む。

 同社はほかに、カルチャー&ツーリズム、健康、金融などの非中核事業を手掛ける。かつては食品・飲料ビジネスに照準を合わせていたが、BOCIは現在手掛ける非中核事業のほうが、主力の不動産開発事業の補完という点では効果が高いとの見方。非中核事業の18年通期利益については約60億元を見込んでいる。

 BOCIは収益性の向上と純負債比率の低減を織り込み、同社の1株当たり予想NAV(純資産価値)を5%引き上げ、50.53HKドルに設定。さらにリスク・リワード比率の改善を反映させる形で、予想NAVに対する目標株価のディスカウント率を30%から20%に修正し、目標株価を引き上げた。現在株価は18年予想PBR(株価純資産倍率)で1.7倍、NAVに対するディスカウント率で51%、18年予想PERでは6.4倍の水準。18年の予想ROE(31%)を考慮すれば、かなりの低バリュエーションにあるとし、株価の先行きに対して極めて強気の見通しを継続している。