17年10~12月期は米国事業が堅調、18-19年に2桁の経常増益を予想

現地コード 銘柄名
00288

万洲国際

(ダブリューエイチ・グループ)

株価 情報種類
 8.38HKD
(3/28現在)
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 万洲国際の2017年10~12月期決算は、コアEBIT(一回性要因を除いた利払い・税引き前利益)がBOCI予想から3%上振れた。米国の生鮮豚肉およびパック肉事業の利益率が予想以上に高水準に達したため。対照的に、中国事業のコアEBITはパック肉の販売不振を受け、予想を6%下押しした。BOCIは18年、19年について、前年比17%、12%の経常増益を予想。パック肉販売の復調(18年に前年比5%増を予想)や中国での原料価格の軟化、さらに米国事業の効率化などが実質2桁増益に寄与する見通しを示した。目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 中国事業のEBITは10~12月期に前年同期比20%増の2億3,700万米ドル。パック肉の販売量が前年同期比2.2%減と、BOCIの予想(6%増)を大きく下押しした。経営陣によれば、◇新製品販売の伸び悩み◇旧製品の除外ペースの加速◇販路における在庫調整の動きが響いた。BOCIはほかに、旧正月が前年の1月末から2月中旬にずれたことが影響したと指摘。18年のパック肉、生鮮豚肉販売量に関する予想値をそれぞれ前年比5%増、15%増に据え置いた。この数字は年初から現在までの販売伸び率とほぼ同水準にあるという。また、家畜豚価格が歴史的低水準(1キロ当たり10.3元)まで下落したことを理由に18年の利益率の改善を見込んでいるが、その一方で新製品販売のインセンティブとしての補助金増額を予想し、これがプラス効果を一部相殺するとみている。18年通期の中国事業のコアEBITについては前年比11%増を見込む。

 一方、米国事業を見ると、10~12月期のEBITは前年同期比3%減の3億2,800万米ドルと、BOCIの予想を19%の幅で上回った。生鮮豚肉業務の減益率が予想より小幅だったことに加え、価格上昇を受けたパック肉業務の利益率改善が寄与した。18年通期の米国事業に関しては、コアEBITが前年比5%増加すると予想。SAPシステム(独SAP社が開発したERP=統合基幹業務パッケージ)の導入に伴うコスト削減効果を見込み、EBITマージンが同0.2ポイント改善するとみている。

 BOCIは18年、19年の利益見通しを調整し、それぞれ1%下方修正、5%上方修正した。米国での法人減税の低下(31%→21%)というプラス要因を、中国事業の利益見通しの下方修正が一部相殺した格好。中国、米国事業の18年の予想EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)をそれぞれ前年比6%減、前年比横ばいとし、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づいて目標株価を据え置いた。目標株価は18年、19年の予想PER(コア利益ベース)で14倍、12倍の水準に相当する。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある同社の潜在リスク要因として、BOCIは食品の安全性問題や、中国での家畜豚価格の高騰、米国での豚価格の急落、米国での飼料価格の高騰などの可能性に加え、豚肉に絡む米中貿易摩擦リスクを挙げている。