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『日銀短観』は、日銀が金融政策運営の参考にするため、3カ月ごとに約1万社の企業に行う「全国企業短期経済観測調査」のことです。代表的な指標の大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が最も注目されます。景況感のほか、企業の売上、収益、設備投資計画や雇用などの状況判断も発表されます。今回の回答期間は2月26日~3月30日で、今年になって進んだ円高・株安の影響が注目されました。
【ポイント1】大企業・製造業の景況感は8期ぶりに悪化
大企業・非製造業の景況感も低下
大企業・非製造業の業況判断DIも23と、前回調査から2ポイント低下しました。業種別には、物品賃貸、卸売業など企業向けサービス中心に低下しました。先行きについては、▲3ポイント低下が見込まれています。 4月2日に発表された3月の『日銀短観』では、大企業・製造業の景況感を示す業況判断DIが前回の17年12月調査から2ポイント低下の24となり、高水準ながら8四半期ぶりに悪化しました。業種別にみると、化学、鉄鋼など原材料高による利幅縮小から素材業種の低下が目立ちました。また、3カ月後の先行きの業況判断DIについては、▲4ポイント低下が見込まれています。
【ポイント2】設備投資計画は比較的堅調
18年度想定為替レートは109.66円
18年度の設備投資計画は、全規模・全産業ベースで▲0.7%と小幅マイナスでした。ただし、例年3月調査では企業が概ね▲3~▲5%程度のマイナスを見込むことが多いことを考慮すると、設備投資計画は比較的堅調と言えます。
注目される大企業・製造業の18年度の想定為替レートは、1ドル=109円66銭でした。
雇用人員判断DI(全規模・全産業ベース)は▲34(前回調査▲32)となり、人手不足感が一段と強まりました。
【今後の展開】株式市場は『日銀短観』の小幅悪化を織り込み済み
『日銀短観』発表を受けた2日の株式市場では、日経平均株価が前日比65円安の21,388円と、ほぼ横ばい圏で引けました。景況感は8四半期ぶりに悪化しましたが、概ね想定範囲内で、株式相場全体への影響は限定的だったとみられます。ただし、大企業・製造業の18年度の想定為替レートが1ドル=109円66銭であるため、足元の為替水準が続けば、企業収益の下押し要因となることに留意が必要です。
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