日本株は配当利回りから見て割安と判断

 日本株は、配当利回りや、PER(株価収益率)などの株価指標で見て、割安と判断しています。長期投資で、資産形成に貢献する投資対象と考えています。

日本の長期金利(10年もの新発国債利回り)と東証1部予想配当利回りの推移:1993年5月~2018年3月(3月28日まで)

出所:楽天証券経済研究所が作成

 1993年当時、長期金利が5%あったとき、東証1部配当利回りは1%未満でした。このとき、長期国債は割安で、日本株は割高でした。ところが、2018年3月現在、長期金利はゼロまで低下しましたが、配当利回りは2%まで上昇しています。今は、長期国債が割高で、日本株が割安と判断しています。

 

10万円から始める好利回り株投資

 日本株は配当利回りから見て割安で、長期投資対象として魅力的と考えています。ただし、銘柄選択は大切です。人気株に飛び乗って高値づかみとなり、株価が急落すると大きな損失をこうむることもあります。

 これから日本株への投資を考える初心者は、日経平均に連動するインデックスファンドや、10万円以下で買える銘柄への小口投資から始めたらいいと思います。一度に大きな金額を買うのではなく、毎月一定額を買い付けるなど、堅実に投資を増やしていく買い方が良いと思います。

 そこで、今日は、10万円以下で買える好配当利回り株をご紹介しようと思います。

 

スーパースクリーナーを使って銘柄選択

 楽天証券HPでは、さまざまな条件を指定して、その条件に合った銘柄をスクリーニング(抽出)する「スーパースクリーナー」というツールを提供しています。スーパースクリーナーの使い方は、以下をご参照ください。

●「スーパースクリーナーを使った銘柄分析方法を動画で解説

 今日はスーパースクリーナーを使って選ぶ、10万円以下で投資できる好配当利回り株を、ご紹介します。以下の手順で絞り込みます。

10万円以下で買える1,040銘柄を抽出

 まず、東証1部・2部、東証マザーズ、ジャスダック、名証に上場する銘柄について、「投資金額10万円以下」の条件を指定すると、1,040銘柄が出てきます。この1,040銘柄が、2018年3月28日時点で、最少投資単位が10万円以下の銘柄です。

予想配当利回りが2.5%以上の51銘柄を抽出

 10万円以下で買える銘柄から、配当利回りが高めのものを抽出します。「配当利回り(予想)が2.5%以上」という条件を加えると、銘柄数は、一気に51銘柄まで減ります。これが、10万円以下で買える好配当利回り株の候補となります。

10万円以下で買える予想配当利回り2.5%以上の51銘柄のうち、予想利回り上位20社:2018年3月28日時点

出所:楽天証券スーパースクリーナー。「市場」東1は東証1部上場、JQはジャスダック上場を示す。「現在値」は3月28日終値。「投資金額」は3月28日終値で最少投資単位(100株)を買うのに必要な金額

 配当利回り(予想)は高ければ高いほど、良いというわけではありません。なぜならば、株の配当利回りは、確定利回りではないからです。業績が悪化して、減配(1株当たり配当金を減らすこと)になり、株価が下がることもあります。好配当利回りを選別するときは、なるべく減配リスクの低い銘柄を選ぶべきです。

 予想配当利回りが高すぎる(4%超)銘柄には、減配リスクの高い銘柄が入る場合もあります。きちんと調査して選別する場合を除き、避けたほうが無難です。

さらに、時価総額が1,000億円以上の銘柄に絞り込む

 減配リスクの低い銘柄にさらに絞りこむ方法は、いろいろあります。減配リスクが低い銘柄には、一般的に以下のような特色があります。

  1. 時価総額が大きい
  2. 経常利益率が高い
  3. 自己資本比率が高い(借金が少ない)
  4. 景気の影響を受けにくい業種(ディフェンシブ株)
  5. 経営者が株主への利益配分に積極的

 すべてを満たす銘柄はありません。上記の1つか2つを満たせば十分と考えます。今日は、一番単純でわかりやすい「時価総額が大きい」という条件で絞り込んでみました。「時価総額1,000億円以上」の条件を加えると、銘柄数は、26に絞り込まれます。

10万円以下で買える、時価総額1,000億円以上、配当利回り(予想)2.5%以上の26銘柄

スーパースクリーナーで抽出した26銘柄:2018年3月28日時点

出所:楽天証券スーパースクリーナー

私が投資してみたいと考える8銘柄

 スクリーニングで選んだ銘柄に、機械的に投資するのは得策とは言えません。配当利回りが高めの銘柄には、将来、減配になるリスクもあるからです。ここから、さらに絞り込む必要があります。証券会社4社(野村、東海東京、松井、カブドットコム)について、私は投資判断を述べることはできませんので、この4社を除いた22社から選別します。

 過去25年間、日本株ファンドマネージャーをやっていました。私がもし今、ファンドマネージャーならば買ってみたいと思う銘柄は、8銘柄あります。投資魅力が高いと考える順に並べると以下の通りです。

筆者がファンドマネージャーならば買ってみたい8銘柄

コード 銘柄名 配当利回り 業種 最低投資額
8306 三菱UFJ FG 2.6% 銀行 70,240
8410 セブン銀行 3.0% 銀行 33,300
8411 みずほFG 3.9% 銀行 19,260
8002 丸紅 3.8% 商社 76,740
2768 双日 3.3% 商社 33,500
9412 スカパーJSAT HD 3.8% 情報通信 47,600
9069 センコーグループHD 2.6% 陸運 83,700
6967 新光電気工業 3.2% 電機 77,500
金額単位:円/出所:筆者作成

 銀行株には、配当利回りが高い、割安な銘柄が多数あります。ただし、銀行業は日銀のマイナス金利政策で、ダメージを受けています。私は、銀行に投資するならば、海外で収益を拡大させている3メガ銀行か、手数料収入中心に安定収益を稼ぐセブン銀行に限定するべきと考えています。上記リストに出ている三菱UFJ FGとみずほFGのほか、三井住友FG(8316)も、予想配当利回りが3.6%と高く、投資魅力は高いと考えています。ただし、三井住友FGは、最低投資金額が約45万円と大きいので、上記リストには入りません。

 セブン銀行は、利益の大半をATM手数料で稼いでいます。ゼロ金利のマイナス効果が少なく、セブン‐イレブンの出店拡大で業績を伸ばしてきました。これからも、安定的に収益を稼ぐと予想しています。

 丸紅、双日は、総合商社です。資源価格の下落が業績に逆風ですが、積極経営で、非資源事業を拡大し、成長する期待があります。世界景気敏感株で、株価の変動が激しいので、あまり大きな金額を投資するのは考え物ですが、投資ポートフォリオの一部に組み込んでおきたい銘柄です。

 スカパーJSATは、スカパー事業が不振で、株価は割安に放置されています。ただ、JSAT事業が安定収益源となっており、将来的に配当を維持していくことが可能と予想しています。

 センコーグループは、意外な最高益更新企業です。今期(2018年3月期)、連結純利益は、8期連続で最高益を更新となり、8期連続で増配することが見込まれています。トラック輸送業界は、人手不足に苦しんでいますが、最近、料金引き上げが通り始め、今後、収益環境が改善すると予想しています。

 新光電気工業は、半導体パッケージで最先端の技術を持ちます。かつてはパソコン用のパッケージで高収益を上げてきましたが、パソコン市場の縮小で、業績が低迷するようになりました。今、新たな分野(スマホや自動車、ゲーム機、半導体製造装置など)を伸ばすことで、利益を回復させつつあります。円高になると、業績にマイナス影響が及ぶ点は、注意が必要です。

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