18年は火力発電が採算性改善へ、風力・太陽光設備の導入加速を計画

現地コード 銘柄名
00836

華潤電力控股

(チャイナリソーシス・パワー)

株価 情報種類
 14.06HKD
(3/20現在)
 株価
 企業情報
 チャート

 華潤電力控股の2017年12月本決算は前年比11%増収、40%減益と、BOCIの予想および市場コンセンサス予想通りの水準となった。一回性損失3億5,300万HKドル(主に売却損と為替差損)を除いた場合、同期純利益はBOCIの予想を2%上回った。経営陣は決算発表後のアナリストブリーフィングで、向こう3年間、風力発電および太陽光発電能力を年間1.5GWのペースで増やすとの野心的な計画を明らかにしており、これが実現すれば、20年には発電能力全体に占める再生可能エネルギーの割合が25%に上昇することになる。一方、同社の石炭火力発電部門について、BOCIは18年以降の採算性の改善を見込む。同業銘柄を上回る設備稼働率や平均販売価格の安定推移、燃料調達コストの低減などが理由だ。同社経営陣は、18年の石炭調達価格について5~8%の低下を予想しているという(BOCIの予想は5.8%の低下)。BOCIは予想を上回る風力発電容量の拡大を反映させる形で目標株価を引き上げ、強気見通しを継続している。

 石炭火力発電部門の業績は同業銘柄に比べて堅調だが、これは同社が発電所を置く東部、中部、南部などの電力需要が底固いため。設備稼働時間数は17年に4,964時間。経営陣は18年に関して小幅増の5,000時間を予想しており、この数字は業界平均を700~800時間上回る。また、電力「改革」への対応においても同社は先陣を切っており、市場価格を適用した電力販売量(個別の直接契約や入札を通じた販売)が同社全体に占める割合は、17年の37.5%から、18年には57.5%に上向く見通しという。この分の販売価格を対基準価格でみた場合、17年の値引き率は6%(1MWh当たり19.6元)と、業界でほぼ最小。18年に関しては割引率の一段の縮小を見込む。

 同社の計画が実現すれば、発電能力に占めるクリーンエネルギー(大半が風力)の割合は20年に25%に上昇するが、風力発電はIRR(内部収益率)が高く、結果的に同社のROE(株主資本利益率)の一段の上昇につながる可能性が高い。風力発電部門の17年の利用時間数は2,225時間。経営陣は18年に2,220時間と、ほぼ横ばいを見込む。

 経営陣は17年通期に1株当たり0.75HKドルの期末配当を実施する予定。中間配当を含め、16~18年の年間配当を0.875HKドルとする方針を維持している。現在株価に基づく配当利回りは約6%と、同業銘柄を上回る水準にある。

 BOCIは18~19年の予想純利益を0~2%小幅に上方修正し、DCF方式に基づく目標株価を引き上げた。新たな目標は18年予想PBR(株価純資産倍率)で1.06倍。高ROE見通しや魅力的な配当利回りを理由に、この水準は適正としている。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、19年以降の減配の可能性、火力発電部門のダーク・スプレッド(石炭調達価格と電力販売価格の差)が予想以上に縮小する可能性――を挙げている。