ビットコインは仮想通貨の「基軸通貨」

 仮想通貨と言えば即座にビットコインを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

 ビットコインが仮想通貨の主役である理由は、最初に作られた仮想通貨であること、また現在1,500を超える数が存在する仮想通貨の中でも依然として時価総額が最大であることなどが挙げられますが、もうひとつの理由として仮想通貨の中の「基軸通貨」の役割を果たしているということも大きな要因です。

「基軸通貨」とは、法定通貨では、国際金融取引等で基準として採用されている通貨のことです。時代によって変わってきましたが、世界経済の中で主導的な役割を果たす国の通貨になることが多く、第二次世界大戦以降は名実ともに米ドルが基軸通貨となっています。

 仮想通貨では、ビットコインが取引の基準通貨の役割を果たしています。多数存在するアルトコインは、ビットコイン建てで購入(取引)することが基本的には可能。言いかえると、ビットコインを持っていればほとんどの仮想通貨が取引可能なのです。さらに、アルトコインを日本円やドルなどに換える場合、アルトコインをいったんビットコインに換えその後、各法定通貨への換金をおこなうという方式を取る人が多数です。このように、ビットコインは仮想通貨取引のあらゆる場面で大きな需要を持つ仮想通貨なのです。

 

取引におけるビットコイン価格の影響

 アルトコインの取引の際に重要になる価格は、海外の取引所では基本的にビットコイン(もしくはイーサリアム)とペアで表示されますが、日本の取引所では円建てで表記されているため、それを基に取引を行っている人も多いのではないでしょうか。

 しかし、ここに注意が必要です。仮想通貨の円建ての価格は基軸通貨の役割を果たすビットコイン価格を元に計算されています。そのため、特にアルトコインの場合、取引しようとしているコインの価格が円建て価格で変動したら、それはビットコイン価格の変動による影響によることが多いのです。

 円建てばかりを見ているとビットコイン価格の変動に気付かない恐れがあります。そのため、ビットコインそのものの価格は円建てで見ていてもいいのですが、他のアルトコイン価格はビットコイン建てで見ることで、市場の変動を敏感に察知できるようになります。

 

ビットコインはこのまま「基軸通貨」でいられるのか

 今現在、その価値や地位は揺るがないと思われるビットコインですが、時代や国際経済を取りまく環境により法定通貨の基軸通貨が変化してきたように、これからの仮想通貨が置かれる環境によっては、ビットコインに代わる仮想通貨が基軸通貨として台頭してくることは大いに考えられます。実は、今まさに基軸通貨が移動しようとしている最中なのではないかという声もあるほどです。

 ビットコインは優れたシステムを持つ仮想通貨ですが、需要の多さに処理能力が追い付いていないなど、課題や問題も増え続けています。加えて、ビットコインの持つ課題を解決する新たな仮想通貨が生まれてきています。

 その中でも将来的にビットコインに代わる存在となるのではないかと言われている仮想通貨に、ビットコインキャッシュやイーサリアムがあります。イーサリアムは、すでにICO(Initial Coin Offering)では中心的な通貨となっています。

 しかし、ビットコインのブランド力は依然として強力なものであることには違いなく、ドミナンス(支配力)は40%を維持しています(3月23日現在、Coinmarketcapより)。
今後、ビットコインに代わるような仮想通貨が現れるのかどうか、市場の動きを注視していく必要がありそうです。