A株第三者割当で資本増強へ、17年決算速報値は小幅に予想上振れ

現地コード 銘柄名
01288

中国農業銀行

(アグリカルチュラル・バンク・オブ・チャイナ)

株価 情報種類
 4.47HKD
(3/13現在)
 株価
 企業情報
 チャート

 中国農業銀行はこのほど、資本増強に向け、A株の第三者割当増資を実施すると発表した。これにより、2018年のコアティア1(狭義の中核的自己資本比率)が約0.7ポイント上昇する見通しという。また、同時に17年12月本決算の速報値を発表したが、同期純利益はBOCI予想を小幅に上回る水準。期末の不良債権比率は前四半期比で16ベーシスポイント低下した。BOCIは18年、19年の利益成長率が前年比7.3%、7.9%に達すると予想。株価の先行きに対して極めて強気の見通しを示し、同行を銀行セクターのトップピック銘柄としている。

 A株第三者割当では最大1,000億元を調達する計画。中国政府系投資会社の中央匯金投資有限公司や中国財政部、中国煙草総公司など7者に割り当てる。割当価格は◇発行日前20営業日の平均株価の90%◇直近決算のBPS(1株あたり純資産)――のいずれか高い方。 仮に17年の期末配当支払い後に増資が実施された場合、割当価格は最低で3.97元となる。また、増資の完了後も、筆頭株主である中央匯金投資有限公司の持ち株比率は変わらず、現行通りの40%に維持される。一方、BOCIによれば、同行の18年通期のコアティア1は0.7ポイント上向く見込み。割当価格はH株株価を15%ほど上回る見通しだが、このこと自体、主要株主の信頼感を反映しており、同行H株の支援材料になる見通しという。

 17年本決算の速報値を見ると、純利益は前年比4.5%増の1,926億元。EPSは0.58元と、BOCIの事前予想を小幅に上回った。貸倒引当金が想定以下にとどまり、営業費用が予想より小さかったことが予想上振れの背景。期末の総資産は期初比で7.6%増、前四半期比では1.7%増。期末の貸出総額、預金総額は期初比で10.3%増、7.7%増。前四半期比では0.7%増、1.1%減だった。

 不良債権指標は改善し、17年末の不良債権残高は1,940億元と、前四半期比で7.5%減少。不良債権比率は1.81%と、同16ベーシスポイント(0.16ポイント)低下した。また、不良債権引当率は208.37%と、前四半期末から14.1ポイント上向いた。BOCIは17年通期の不良債権生成率(NPL formation ratio)が0.55%に改善し、前年を58ベーシスポイント下回ったとみている。このほか、17年の費用収入比率は32.95%(前年比1.64ポイント低下)となり、純金利マージンは2.18%(同3ベーシスポイント上昇)に改善した。

 BOCIは利益見通しを小幅に修正し、18年、19年の予想純利益を前年比それぞれ7.3%増、7.9%増の水準に設定した。同行の現在株価が18年予想PBR(株価純資産倍率)0.76倍の水準にあることに振れ、株価の先行きに対して極めて強気の見通しを明らかにしている。